【ボリンジャーバンド】順張り?逆張り?プロはどっちで使ってる?

今日は「ボリンジャーバンド、逆張り? 順張り?」というタイトルで話をしていきます。
ボリンジャーバンドって物凄くポピュラーなインジケーターで、多くの人が逆張りの指標として使っていると思います。
でも、そもそもその「逆張り」が合っているのか? 正しい使い方なのか? …ということについてちゃんと考えたことのある方は少ないんじゃないでしょうか?
今日は、「ボリンジャーバンドをどう使うのが正しいのか」…つまり、「ボリンジャーバンドを順張りで使うのが正しいのか? 逆張りで使うのが正しいのか?」…ということについて掘り下げて考えていきたいと思います。
そもそも、「順張りが正しいか・逆張りが正しいか」ということを考える前に、「ボリンジャーバンドってどういう指標なのかな?」「どういう意図をもって作られたのかな?」ということについて考える必要がまずあると思うんですね。
なので、今日は、そういった原点に立ち返ったところからボリンジャーバンドについて詳しく考えてみようと思っています。
ボリンジャーバンドの正しい使い方
はい、これからこの画面を一緒に見ながら「ボリンジャーバンドはどのように使うのが正しいのか」について考えていきたいんですが、まずは簡単にボリンジャーバンドの見た目を共有していこうと思います。
もう表示されています、こんな感じです。
真ん中の線が移動平均線です。パラメーターは20を取るのが一般的です。
上下に、このようにバンドを表示します。上と下、移動平均線からの距離は同じ距離を取ります。
今回は2σ・-2σという距離で設定をしています。この半分の距離設定をすると、1σ・-1σになります。2の半分だから、半分の距離になるということですね。
これが3σ・4σとかになると、この1σの3倍ですよ・4倍ですよ…という意味になるわけです。
こんな感じでボリンジャーバンドをいろんな値で表示する人がいるんですけれども、せいぜい1σから3σぐらいの設定が一般的に用いられるパラメーターとしては最大ではないかな、と思います。
この「ボリンジャーバンド、順張りですか? 逆張りですか?」というような話をする時に、「どういうトレードが順張りで、どういうトレードが逆張りか」というと、例えばこうやってはみ出ているから、ボリンジャーバンドの上のバンドをはみ出た時にショート…つまり売りを入れる、というのが逆張りの使い方だし、逆に、下抜けた時にロングを取る、というのが逆張りの使い方。
逆に、このボリンジャーバンドを(上に)抜けたところで買いを入れる・(下に)抜けたところで売りを入れる、というのが順張りの使い方になります。
この2つの使い方の立場の中でどちらが正しい使い方か、ということを考えていきたいんですが、まずは「ボリンジャーバンドがどのように描画されるのか」について、もうちょっと詳しく考えることによって、そのヒントを探っていこうと思います。
こんなチャートを作ってみました。この山みたいなものが書かれている、ここを見てもらいたいんですが、これは縦軸に時間の経過・横軸に価格の変動を取ったチャートです。
ですから、普段トレードをする時に見ているチャートとは縦軸・横軸が入れ替わっている、というようなチャートになっています。
これを使って価格変動を考えていくんですが、これ、「ランダムウォーク理論」というものを図示したものです。
ボリンジャーバンドというのはランダムウォーク理論という価格変動の捉え方を前提として開発されています。
ランダムウォーク理論というのは、読んで字の如くですけれども、「価格の変動はランダムである」と捉える理論です。
ランダムなので、価格変動は予測出来ない。予測出来ないから、価格が上がる確率と下がる確率、これを50:50と考えましょうね、50%ずつと考えましょうね…というのがランダムウォーク理論です。
時間の経過と…さっき「縦軸が時間の経過だ」という話をしましたけれども、例えば1日目の今日、ドル円のレートが100円だったとします。
明日1円上がる確率・1円下がる確率、これはランダムウォーク理論に従えば50%ずつです。ですから、2日目に101円になっている確率と99円になっている確率は等しく50%であると考えます。
3日目に関しては、101円・99円、それぞれの場合について考えるんですが、さっきと同じですね。1円上がって102円になる確率…101円から102円になる確率は50%。101円から1円下がって100円になる確率は…99円からも同じように考えますね、1円上がって100円になる確率は、50%。99円から98円になる確率は50%。
…こんな風に、同じ要領で5日目までやっていくと、96、98、100、102、104という場合分け・パターンが考えられるんですが、そのここの1日目から、それぞれの価格にゴールインする確率というのが、このオレンジの数字で書かれた通りです。
この確率は、真ん中に近付くにつれて高くなります。
真ん中からの距離が同じであれば、上も下も同じ確率になります。25、25、6.25、6.25。
これをグラフ化すると、こんな感じの形になります。山のような形ですね。
これを、統計学では「鐘のような形」と考えます。お寺の鐘ですね。お寺の鐘のような形と考えるので、「鐘状図」と言われています。
更に、このようなランダムウォーク理論の結果、実現されるこの分布のことを、「正規分布」と呼びます。確率分布のことを「正規分布」と言います。
ここからちょっとイメージしてもらいたいんですが、仮にこの鐘状図に…「仮に」というか、もう実際に引いてしまったんですが、線が引いてありますね、縦線が。
これが、真ん中が移動平均線で、ここが1σ・-1σで、その外が2σ・-2σで、その更に外が3σ・-3σだった時に、これを上から見た時にボリンジャーバンドに見えませんか?
このようにボリンジャーバンドは考えたものです。
真ん中が移動平均線なので、ボリンジャーバンドを見る時も、移動平均線に近いところ…つまり2σのこの位置よりも、1σのこの位置で価格が推移する確率の方が高いよ、という風に考えることが出来るし、まして3σともなれば、価格がここまで行く確率は極めて低くなるんだよ、ということが考えられるというわけですね。
具体的には、1σから-1σの間に価格が収まる確率が68%、2σから-2σの間に価格が収まる確率が95%。それから、3σから-3σの間に価格が収まる確率が、99%になる。
…という風に統計学の世界では言われています。
ですから、ボリンジャーバンドを逆張りに使う人達は、例えば2σを使って逆張りをすると、こういったところですね、抜けたところで逆張りをしていけば、95%の確率でトレードで勝てるのではないか? -2σを抜けたところでロングエントリーをすれば95%の確率で勝てるのではないか? …ということを考えて逆張りをするわけですね。
ところが、見てもらいたいんですが、実際に、これ…例えばこんなところ、つまり2σを価格が上抜けている場面ですけれども、こういうところでショートエントリーをして、95%の確率で勝てると言えるでしょうか?
実際このトレード、勝つ確率は極めて低いのではないかと思うのですが、先程言った「95%」という確率、これは確かに正しいです。95%の確率で価格はバンドの中に収まります。
ところが、ここ、よく考えてもらいたいんですが、バンドが先にあって、その中に95%の確率で収まるように価格が変動するわけではないんです。
バンドが先にあって、価格がそこに合わせて動くのではなく、価格が先に動いて、バンドが後から価格を追い掛けているんですね。
ですから、最終的には95%の確率でバンドの中に価格は収まります。だけど、それはバンドが追いかけて、バンドが価格を収めようとした結果そうなるのであって、価格を変動させるような何かそういう力が…力学がボリンジャーバンドによってもたらされているわけではないんです。
ですから、先程言ったような分布確率というものを鵜呑みにしてしまうと、逆張りで大きな損失を被るようなことになってしまうわけです。
そもそもボリンジャーバンドというのはランダムウォーク理論、それから正規分布というものを前提にして開発された…という話をしましたけれども、そもそも実際の価格変動はランダムウォーク理論に従って動いてはいないですし、正規分布にも従いません。
ですから、これを前提にしたボリンジャーバンドを「正規分布に従っている」という前提の元に逆張りで使うのは非常に危険である、と言えるわけですね。
「ではボリンジャーバンドは欠陥だらけのインジケーターなのか?」
「前提から全て間違っているから、欠陥だらけのインジケーターなのか?」
…という話になってしまうと思うんですが、そうではないんですよね。というのも、ボリンジャーバンドを作った人は、そんなことは百も承知でこのボリンジャーバンドを作っているわけです。
ボリンジャーバンドの作者本人が「順張り」推奨
じゃあボリンジャーバンドを作った人…これ、ちなみにジョン・ボリンジャーさんという人です。ボリンジャーバンドを作った人の名前を取って「ボリンジャーバンド」という名前が付いているわけなんですが、このボリンジャーさん、ボリンジャーバンドの使い方や開発経緯について本を出しています。
『ボリンジャーバンド入門』という本です。パンローリング社から和訳版も出ているので是非読んでみてもらいたいんですが、この開発者のボリンジャーさんは、著書の中で次のように述べています。
「ボリンジャーバンドを逆張りで使うことは推奨しない。むしろ、価格がバンドをはみ出して、押し広げている場面こそが、利益の源泉である」
というようなことを言っているわけですね。
今、この、言葉だけで…口頭だけで言っているので、イメージがしづらかったかもしれないんですが、これをチャートに当て嵌めて、どういう場面かというのを説明してみると、例えば先程「逆張りする時にはショートを取る」と言ったここですね。
こういうところ、バンドを価格がはみ出しています。その後、押し広げていく場面、ありますよね。
ここで順張りをするんです。さっきは「ショート」って言いましたけれども、ボリンジャーさんの想定している使い方に従うのであれば、ここは買いのポイントです。
買っていって、均衡状態が崩れていくわけですね。「均衡状態が崩れる」という言い方を著者の人は言うんですが、つまり、ここまでは行ったり来たりしている…売りと買いのバランスが取れている場面なんですね。
ところがここから先、売りが諦め始める…負け始めるわけです。
つまり、均衡状態が崩れて、バランスが買いの方に寄っていくわけですね。こういったところでトレンドが大きくなりやすいので、こういったところで買いを入れることによって利益を生むことが出来るんだよ、ということをボリンジャーさん自身が開発の時に既にそう思っていたわけですね。
また、こういう場面もそうですよね。
バンドが、今度は下バンドですね、下のバンド、-2σをはみ出して、その後押し広げている…こういった場面でショートエントリーをする、というのがボリンジャーさんがそもそも想定していた…開発した時に想定していたしていたボリンジャーバンドの正しい使い方だ、ということが言えるわけです。
インジケーターの使い方は人それぞれですね。人それぞれなんですが、正しい使い方を考える上で、そもそもそもそもこのボリンジャーバンドもそうですけれども、インジケーターを作った人がどういう風に使うことを想定して…意図して作ったのか、ということを考えるのが、非常に正しい使い方を考える上では有用である、と僕は考えています。
そういう意味で、「ボリンジャーバンド、順張りですか? 逆張りですか?」という今回のお動画ですけれども、僕の考えとしては、正しい使い方は、
「ボリンジャーバンドは順張りで使う」
…この使い方だと思っています。
まとめ
はい、如何だったでしょうか?
今回のボリンジャーの講義が少しでも役に立ったと思った方は、高評価・チャンネル登録をお願いします。
それでは皆さん、ごきげんよう。
-
前の記事
2019年7月 トレード成績
-
次の記事
【検証】RSIを誰もがやってる使い方で検証してみた結果・・・