【書評】トレーダーはどうあるべきか?超おすすめのトレード哲学本 デイトレード

【書評】トレーダーはどうあるべきか?超おすすめのトレード哲学本 デイトレード

どうも、メタトレ研究所のHiroです。

今日は書評の回ということで、僕が今まで読んできた本の中から、1冊をセレクトして、皆さんに書評をお届けしようと思います。

 

今回扱うタイトルが、

『デイトレード』(オリバー ベレス・グレッグ カプラ 著)

という本です。

凄いシンプルなタイトルですね。

こちらの本ですけれども、書いた人がオリバー・ベレス、それから、グレッグ・カプラと言う人、この2人の共著ですね。

この2人が書いた本を和訳して出版したものが、この『デイトレード』という名前の本です。

著者の紹介から

まず、この本を書いた2人について簡単に紹介しておくと、この2人はアメリカで、トレーダー教育、それから投資情報配信を行っている2人です。

もう、トレーダー界の大御所ですね。

彼らが発行するニュースレターっていうのがあるんですけれども、世界48ヵ国で読まれている人気ニュースレターの発行者でもあるわけですね。

配信する情報の質の高さから、数々の賞も受賞している、そんな大物2人による本がこちらの本です。

本の内容は?

書かれていること…何が書かれた本なのか、ということを一言で言うと、これは「トレード哲学」です。

つまり、「トレーダーとして僕達はどうあるべきなのか?」ということについて書かれた本なんですね。

…こういうことを言うと、決まって言われるのが、「なんだ」と…「トレードをどうやったら良いかについては書かれていないのか」ということをよく言われてしまうんですけれども…。

そもそも、トレーダーの参加している市場というのは、「9割以上が負け組」だと言われています。

その負け組の、負ける原因というのを探っていくと、大体が「損切りが出来ない」とか、「ロットを張り過ぎた」リスクを取り過ぎてしまった」とか、あとは「待てなかった」とか、「ムキになってしまった」とか…あるいは「チャンスなのに怖くてエントリー出来ませんでした」、そんな話なんですよ。

こういう原因っていうのは、これ、トレードが上手いとか下手とかっていうことじゃないんですよね、もはや。

これはもう、言うなれば、トレーダーとしての人格の問題です。

 

だから、「トレードをどのように行うか」ということを学ぶ前に、

「トレーダーとはどういう人間なのか」

「トレーダーとして自分達はどうあるべきなのか」

っていうことを学んで、土台を作っておく、っていうことが大事なんです。

その土台作りに大変役立つ本が、こちらの『デイトレード』という本なんだよ、という…そういう趣旨で、今回この書籍を選んでいます。

心理的な壁、感情の波、困難を如何にして解決するか

この本を読んでいると、もうマーケットに参加している人だったら誰もが直面する心理的な壁、感情の波、困難…「こういったものを如何にして解決するか」、解決するにあたっては原因ってものを知らないといけないので、「それがまずなぜ起きるのか」っていうことについても、非常に客観的で詳細に書いてあります。

そういった、いろんな問題…起きうる問題とか、あとは「市場とはこういうものだよ」「こういう心理で人は動くんだよ」っていうようなことなんかも含めて、いろんなエッセンスがあるわけですけれども、これらのエッセンスが100以上の項目に分けられて、この本には収められています。

1つ1つの項目はわりかし短いです。大体見開きで2ページとか、もう1枚めくって3ページとか、そのぐらいのボリューム感なんですけれども、それらから得られるものは、非常に大きいわけですね。

 

全てのそれらの項目が、同じフォーマットに従って書かれています。

そのフォーマットは、3つの構成に分けられたフォーメーションなんですけれども、1つ目がタイトル、2つ目が本文の部分、3つ目がポイントの書かれた部分です。

1つ目のタイトルの部分はどういうことが書いてあるかというと、これは著者がこの項目の中で伝えたいことを、バーンと1行で書いてあるわけですね。

多くの場合、そのタイトルだけを1行読んだだけでは、結局何が言いたいのかイメージ出来ないわけですけれども、それらのことが、後を読んでいくと明らかになってくる。

2つ目の本文部分においては、何が書かれているかというと、エピソードです、具体例。その具体例というのは、その著者自身が経験したことだったりとか、あるいは著者が今まで出会ってきたトレーダーにこんな人がいたよ、っていう話だったりとか、そんなことが書かれているわけですね。

3つ目のポイントというところなんですけれども、これは締めですね。締めの部分で何を言っているかというと、前のエピソードのところで、個別具体的な話をしたものをまず一般化するわけです。問題の所在がどこにあるか、っていうのをまず明らかにした上で、そこに対する処方箋を述べる…これがポイントのパートですね。

一部を紹介すると・・

例えば、こういうフォーマットに従ってどういう風に文章が展開していくかというと、この本の中で…そうですね、今パッと思い出せるぐらい印象的な項目、1つ挙げるとすれば、例えばタイトルとして「苦痛と快感のサイクルを打破すること」というタイトルがあるんですね。

「苦痛と快感のサイクル」って、ちょっと分かりづらいですよね。

これがどういうことかというのが、2つ目の本文パートで明らかになるんですね。

 

この本文パートでは、著者自身の経験について語っています。著者が「私はかつて苦痛と快感の狭間を行ったり来たりしていた」「そういう時期があった」と。

「苦痛」というのは負けた時のあの苦しみですね、自信が無くなっちゃって心も痛い、場合によっては体も痛い、もう世界が真っ暗に思える…そんな状態が「苦痛」だ、と…そういう状態に自分が身を置いている時もあるし、一方でトレードに勝った時は「自信に満ち溢れてトレードが楽しくて、世の中がバラ色に見えた!」…みたいなことを言っているんですけど、ちょっと大袈裟ですけどね…、そういう快感というところに自分が身を置いている時もあった、と。

どちらかの時期が連続して長い時もあるし、割と交互にコンスタントに訪れる時もあるけど、いずれにしても、苦痛と快感のこの狭間で行ったり来たり心が揺れ動く…それに従ってトレードも揺れ動いてしまうので、結局一貫したトレードが出来ないわけですよね。

一貫したトレードが出来ないので、なかなか利益が出せずにいた、というようなことを自分のエピソードとして語っているわけです。まあ、これがエピソード部分。

 

最後にポイントとして、この話のまとめをするわけですけれども、ここ、この「苦痛と快感のサイクル」っていうのはよろしくない、というのはまず分かりますよね?

それはなぜかというと、心が揺れ動くことによってトレードも一緒に揺れ動いてしまう。

だから、「良いトレードというのを一貫して行うことは出来ないんだよ」というところ…「だから良くないよ」というのは分かりやすいと思うんですが、果たして、ここの良くないこの現象の問題の所在はどこにあるか、っていうのを考えるのがこのポイントなんですね。

この問題の所在は、「トレーダーが結果を先に求めるから」なんだよ、という風に言っています。

結果というのは、言わずもがなだと思うんですが、「勝ち負け」あるいは「利益と損失」です。

トレードするにあたって、第一目標がそこになっていると、当然その結果というものが利益になったか・損になったか、あるいは勝ちになったか・負けになったかによって、心は大きく揺れ動いてしまう。

だから、「その一番重きを置くポイントを、結果ではなくプロセスに置いたら良いんじゃないの?」という、これが処方箋ですよね。

プロセスというのは、具体的にどういうことかっていうと、トレードをする時のチャート分析だったり、あるいはリスクの測定も、多くの場合はチャート分析の中でやっていくことだと思うんですけれども、ボラティリティなんかを測ってね、リスクの測定をする…。

それから、その測ったリスクを元に資金の割合を決めて、タイミングを測ってエントリーをして、最後に決済の基準を決めて決済をする。

こういったプロセスを、常に正しくやっていくということに重きを置いたらどうですか? と。

…これがちゃんとできている限り、正しいアプローチのトレードを一貫して正確に執行している限り、それはOKだ、と考えるようにしていれば、たまたまその1回のトレードが負けになったとしても、世界が真っ黒になるようなその苦痛のところに、自分の心が落ちていく…っていう、そこまでは行かないわけですよね。

そういう風に、正しいアプローチを一貫して正確に繰り返していれば、結果も自ずと後からついて来るので、

「だから最初から結果を求めなくても良くない?」

…というのがそのポイントのところで処方箋として挙げられていることなんです。

 

こんな感じで、今みたいな話が100個以上続いていくわけですけれども、これ100個全部読み終わる頃には、トレーダーとしての心構えがしっかり出来てしまっている、というような、物凄く力のある本なんですね。

ですから特にトレードの初心者、あるいは「トレードを結構続けているけど全然勝てない」、「良い手法も知っているんだけどその通りに出来ない」みたいな、手法・トレードのやり方以前のところで躓いてしまっている多くのトレーダーの人に是非読んでもらいたい本ですね。

日本語版「デイトレード」実は半分がカットされていた。

ちなみに、この本、元々海外の本だ、っていう話をしました。

海外の本が翻訳されて、『デイトレード』という本になるまでの過程で、この本のボリュームは実は半分になってしまっているんですね。

では元の本がどういう本だったかというと、今言った…紹介した部分というのは、トレードの哲学についての本だ、という話をしました。

この後に本当は、イメージとしては後ろに、こう追加されているイメージだと思うんですが、ここにテクニカル分析についての章が、元々外国の本にはありました。

だけど、こちら、翻訳を担当した人が、翻訳をする過程で「ここは要らないだろう」みたいなことでカットした…という経緯があるんですね、実は。あまり知られていないと思うんですけど、そういう経緯があります。

 

それを知ると、多くの人は「じゃあその後半部分も読んでみたいな」って思うのが普通だと思うんですけど、僕もそういう風に思ったので、原著を取り寄せて、読んでみたりもしました。

「読んでみたい」という人が多いと思うので、先に言っておくと、ぶっちゃけ後半部分は読まなくて良いと思います。

それは何かというと、この本の後半部分…元々あった後半部分で公開されているテクニカル分析の話は、わざわざ外国から取り寄せなくてもインプット出来るような情報ばかりです。

日本語の本でも易しく紹介されているようなことばかり書いてあって、あまり目新しいものも無いですし、他には無いようなものというのは無いので、であればわざわざ英語で苦労して読む必要は無いかな、日本語で書いてある分かりやすい本の中で同じ知識を入れれば良いかな、という風に思うので、これの原著をわざわざ取り寄せてまで、これの後半部分を読む価値は無い。

むしろ、前半部分は、日本語の訳も良いと思うんですよね。翻訳も凄く良い日本語になっていて、スッと心に落ち着くような、良い訳がされていると思いますので、この日本語版の『デイトレード』…元の本の前半部分だけを読むのが一番良い読み方だな、と僕は思っています。

まとめ

そんなことで、今回の書評の動画は以上になります。

是非、この『デイトレード』という本、手に取って読んでみてください。

ということで、今回のこの動画が少しでも役に立ったと思った方、高評価とチャンネル登録、是非よろしくお願いします。

 

それでは皆さん、ごきげんよう。