【解説】直感ではFXで勝てません!その理由をプロトレーダーが解説します

【解説】直感ではFXで勝てません!その理由をプロトレーダーが解説します

どうも、メタトレ研究所のHiroです。

今回は、ヒューリスティックについてについて話をしていきたいと思います。

 

トレード中にチャートを見ていて、「お、これは行けんじゃね?」って思って入ったところが実は全然チャンスじゃなかった…とか、「ここは利益が狙えるかもしれない」と直感的に思ったところが全然エントリーチャンスじゃない…とか、あるいは決済においても同じようなことが起きたりするわけですけれども、こういった経験、誰もが経験したことあるんじゃないかな…と思います。

「トレード中における直感はなぜ外れるのか?」

ってことですね。これを今日は話をしてきたいと思います。

 

そのヒントとなるワードが、「ヒューリスティック」というものです。

「既にこのワードを聞いたことがある」「その概念を知っている」

という人も結構いるんじゃないかな、と思いながら話をしているんですけれども、これ、「直感的推論」という風に訳されます。

 

「直感的推論」、読んで字の如くなんですけれども、これが、トレードにおいてはトレーダーの敵になることもあるし、あるいは他の人のその直感的推論というものが自分自身にとって何かチャンスになる可能性もあるわけですね。

そんな直感的推論、ちょっと類型としては凄く種類があるわけなんですけれども、これをなるべく整理して、皆さんになるべくインプットしやすいようにお伝えしていこうと思いますので、この後は、一緒にスライドを見ていきたいと思います。

それでは、付いて来てください。

ヒューリスティックとは?

はい、それではヒューリスティックについて解説をしていきます。

ヒューリスティックという言葉は、もう既に知っている人とか、「名前だけは聞いたことがあるよ」という人もいるかなと思うんですけれども、これ、冒頭に言い忘れちゃったんですけど、行動経済学の用語です、こちらに関しても。

ヒューリスティックという大きな概念があって、その中が、何と6類型に分かれているわけですけれども、今日はその6類型を全て話をしようと思いますけれども、まあインプット大変だと思うんですけどね、上手く頭を整理しながらインプット出来るように話をしていこうと思いますので、頑張って付いて来てください。

 

はい、まずヒューリスティックの概念についてもうちょっと説明しようと思います。

ヒューリスティック、これは日本語に訳される時には、しばしば「直感的推論」という言葉が当てはめられます。まあ分かるような、分からないような…っていう言葉かもしれないんですけれども。

まあ読んで字の如くかな、「深く考えずに単純な思考プロセスをとること」、それを「直感的推論」と言って、まあ元々は「ヒューリスティック」という言葉だったんだよ、ということですね。

「深く考えずに単純な思考プロセスをとる」ということですね。まあ、いろんな情報を扱うわけですね、価格変動とか、あるいは自分の置かれている状況とか心理状態とか、いろいろトレード中には観察することが沢山あるわけですけれども、そういった観察することが多くなると、当然扱う情報が増えてきます。

当然、その増えた情報量に対して、その情報処理を行う時間が十分に取れないと、単純な思考プロセスを取ってしまうわけですね。

そのことによって、現実認識を誤って、判断を間違うってことに繋がりやすいんだよ、というのがヒューリスティックの概念と、それによる弊害を説明したものになります。

 

ヒューリスティックがなぜ起きるのか。…さっきちょっと触れたんですけれども、扱うべき情報の量が凄く多くなってしまったのに対して、それらを扱う…処理するのに掛ける時間が十分に取れない、こういったアンバランスによって、現実認識を誤る、ということなんですね。

…まあ何でもそうですよね。「タスクが多いけれども時間が足りない」という状況においては、そのタスクのこなし方が不正確になりやすい、というのは何でもそうだと思うんですけれども、これが頭の中で起きている状況というのがヒューリスティックなんだよ、ということです。

 

こういったヒューリスティックですけれども、「大きく分けて2類型」という書き方をしましたけれども、単品で見て行くと6類型になります。

1つ目の累計の中に4つ、類型が小さくあって、それから2つ目の累計の中に類型が2つある、というような区分けになっておりますけれども…。

先ほど、「扱う情報量が多いのに対して、掛ける時間が足りない」という風な言い方をしたんですけれども、1個目のこの累計に関しては「複雑さの減少」という風に書いていますけれども、どちらかと言うと、情報量に重きを置いたカテゴライズのされ方、ということですね。「扱う情報の量が多いから起きてしまうヒューリスティック」という4つが、挙げられています。

2つ目に関しては、一方で、その情報量ではなくて、時間の方に重きを置いたカテゴライズになるかな、と思います。早く情報判断をしたいので、こういうヒューリスティックが起きますよ、ということですね。

…こういう感じで、ちょっと類型が多くてインプットの量が多くなるんですけれども、こんな感じでカテゴライズして整理するとインプットがしやすいかな…という風に思うので、1つ、こんな類型を使いながら、概念の習得に務めてもらえると良いかな、と思います。

単純化

1つ1つについて、これから説明していこうと思うんですけれども、まず「単純化」ですね。

「単純化」という言葉は日本語としてそんなに難しい言葉ではないので、凄くイメージがしやすい概念ではないかな、とは思うんですけれども。
例えば…まあ例え話から行きますけれども、一番分かりやすいところかな、いわゆる「キリ番」ってやつですね。100.126みたいな、こういった数字が出た時に、例えば100.1って呼んでみたりとか、もっと丸めちゃうと100って呼んだりしますよね。あまり為替でもない限り、小数点以下第3位まで扱うことってほぼほぼ無いですよね。

人間はあまり、こういった小数点以下がズラズラッとなっている数字を扱うことに慣れていないので、こういった数字がいきなり出て来た時には、これを丸めて扱いたくなってしまうわけですね。

 

人間はなるべく考えないで済むように、脳の機構が出来ています。そういったことの影響もあって、こういったことを行ってしまうわけですけれども、こういったことが原因で起きることとして、一番分かりやすいところとしては、何か「凡ミスが増える」というのがあるかな…と思います。

今、小数点以下の方を削るようなパターンをお伝えしたんですけれども、僕が最近実際に犯したミスとして、逆に、この小数点以上…って言うんですか? 100の方。100の方を丸めて扱ったりするわけです、僕は結構普段から。

この前も、講演に呼んでいただいた時に、「今のレートが分からん」みたいな、「小数点以下は知っているんですけど、上が分からなくなっちゃいました」みたいな話をしたりして、ちょっと恥ずかしい想いをしたこともあったんですけれども、トレード中も、一の位を間違えて逆指値を入れて損失が膨大になってしまったりとか、そんなことをやった経験がありましたね。

 

…こんな感じで、凄く分かりやすいミスなんかも起きたりするんですけれども、これが、今ミスの話ですけれどね、良い方面に働くっていうこともあって。

つまりそれは、自分以外の人達が単純化の影響を受けている時は、そのことによって相場の中に優位性が起きやすい、という側面もあります。

つまり、チャンスを生む1つの要因にもなる、ということですね。それが2個目に書きましたけれども、いわゆる「キリ番」が機能する、ということがあります。

やっぱり覚えやすい数字というところに人は注文を入れたがるので…あ、「キリ番」って分かりますかね? キリの良い数字のレートのことですけれども、正しくこの100円なんかはそうですよね。

「100円ピッタリ」っていうところはやっぱり、価格が上から向かっている時も下から向かっている時も、抵抗体とかサポートになりやすい、という、そういったところがあります。

それは、やはり、市場参加者が100円という数字は覚えやすく、扱いやすく、注文を出しやすい、というところで多くの注文が集まることによって相場の中の節目になりやすい、ということがあるんですね。

それによって、「単純化」というものは凡ミスの温床にもなりますけれども、1つトレードの優位性を生む、その源にもなり得る、ということ。

…そういった両面から、この「単純化」ということを押さえておくと良いと思います。

心理勘定

はい、次。次は「心理勘定」ですね。

「心理」「勘定」に分けられるわけですけれども、心の中で人間は勘定を行います。勘定って、解りますかね? 「これは得かな? 損かな?」っていうようなことを考えるのが勘定って言いますけれども、要は、価値を測っているわけですね、心の中で。

今は正月明け、1月の12日に収録をしていますけれども、年末なんかに話題になりましたね、「忘年会スルー」。忘年会スルーがなぜ起きるのかというと、多くの人が、その忘年会の価値というものをその心理勘定でもって測った結果、例えば会費だったりとか、それに掛ける時間というようなコストには見合わない…という、そういう結論を下したから、忘年会をスルーする、という結論に至っているわけですよね。

まあこんな感じで今、直近の話題だと、こういうものが例として挙げられるわけですけれども、人間は心の中で勘定を行っています。

…これ自体はそんなに悪いことではないんですけれども、何が問題かというと、この心理勘定はしばしば歪みます。なぜ歪むかというと、価値評価をするにあたって、自分の主観というものを物差しにしているからです。

主観というのは、その時々によって変化するもので、だから物差しには本来なり得ないものなんですけれども、人間は心の中で勘定をする時には、この主観を物差しにしてしまうわけですね。

これはなぜかというと、先ほどその「2類型にヒューリスティックが分けられますよ」という話の中で言いましたけれども、「扱うべき情報量が多いので、それを単純化したい」というような、そんな想いがあるからですね。

 

本来、この…「勘定」という表現をしましたけれども、「物事の価値を評価する」というのは凄く難しいわけですね。いろんなファクターがあって、「適正な価値」というものを見積もらなきゃいけないんですが、それって複雑な処理が必要になってくるわけです。

そういったことが大変なので、一番人間の中で取り出しやすい「勘定」というものを物差しにすることによって迅速に結論を出そう、というような欲求が生まれて、実際にそのような思考パスを辿るわけですけれども、これが、しばしば非合理な結論を導くことがあるわけです。

 

今、下に1個、例を挙げましたけれども、「トレードで設けたお金に関してはリスクを取り過ぎてしまう」というようなことを挙げました。

価値を見積もる中で、心理的な事情を挟むために非合理な結論を導く、ということがいろいろあるんですけれども、これはもう一見絶対的な価値を持っていると思われるお金の評価にいても起きる、ということがあって…。

例えば「10万円を稼ぐ行為」がありました。その10万円稼げた、10万円…同じ価値なんですけれども、一方の10万円は道路工事なんかをやって、額に汗して1週間掛けて、ほとんど寝ずに稼いだ10万円。もう片方は、もうトレードをあまり勉強せずに始めて、ラッキーパンチが当たった10万円だったとします。

そういった2つの10万円があった時に、これ、本来であれば同じ価値として、どっちの10万円も見積もるべきなんですけれども、大体の人は同じ価値だと思えないですよね。やっぱり労働で得た10万円の方が尊いと思うし、ラッキーで当たった10万円は、もう何か無くなったとしても別にあぶく銭だし、という風に思えるようなお金だったと思うんですよね。

そんな感じで、心理的な事情を、物事の価値、それはお金の価値も含めてですけれども、これの判断に持ち込むと、それの評価が歪んでしまう。それによって、リスク許容度を見誤ってしまうっていうことにも繋がる、っていうことなんですね。

 

今は「労働とトレード」というのを比較対象としましたけれども、何もこういう極端な対象軸で評価するだけに限らず、共にトレードだったとしても、今と同じようなことは起き得るわけですね。

片方は、堅実にしっかりトレードをして稼いだお金…その前には凄い検証も勉強もあったし、その前に挫折経験なんかもありながら、やっと勝てるようになって、初めて稼いだ10万円というものと、もう片方…同じくトレードで稼いだお金だけど、何かちょっと出来心でルール違反したけど、ラッキーで当たっちゃった10万円。

こういった2つの10万円に関しても、やっぱり評価は同じには考えづらいですし、それによって、その10万円の扱い方・リスクの取り方っていうものにも、差が出てきてしまうわけですね。

 

ですから、心理勘定、そんなに悪いことではないんですけれども、これはしばしば歪むんだよ、ということは押さえておいていただきたいなと思います。

これの影響を強く受けると、トレードにおけるリスク許容度を測り間違える…というような、そういったリスクにも繋がってしまう、ということなんですね。

利用可能性の誤謬

はい、次。「利用可能性の誤謬」っていうのがあります。

「誤謬」=「ごびゅう」と呼びます。「誤る」とか「歪む」とか、そういう意味合いで捉えてもらえたら良いかなと思うんですけれども…。

まあ、ある情報があったとします。それが意思決定に対して影響力を持つ情報なんですけれども、そういった情報が沢山あった時に、その中で「利用可能性の高い情報に頼りがちになること」…という風に書いてあります。

「利用可能性が高い」というのは、もっと分かりやすく言うと、どういうことかというと、「取り出しやすい情報」ということですね。「アクセスしやすい情報」ということになります。

例えば、自分のトレードの記録の中であれば、直近のトレード結果というのは、遥か昔のトレードの結果よりも、当然アクセスしやすいわけなので、こういった「アクセスしやすい情報」の方に高い比重を置いてしまう。

あるいは、取り出しにくい、遥か過去のトレードの結果とか、トレードの検証データとか、そういったものは、極端なところまでいくと、無視されてしまう…ということもあったりするわけですけれども、このように、「情報が取り出しやすいか・取り出しにくいか」ということによって、情報に対する評価のウエイトっていうものが歪んでしまう…ということがあるわけですね。

 

今のはミスに繋がるというか、「自分のトレードを客観的に見られない」というような、ミスに繋がるような話をしたんですけれども、一方で、これ、トレードにおいて優位性の源にもなり得る話で、例えば過去データを見る中で…チャートを見る中で、「直近高値」とか「直近安値」とかっていうのは凄く意識されますよね。

あれも、ある種、「利用可能性の誤謬」の影響を受けているところがあって、やっぱり直近というのは誰もが見やすいわけですよね。あまりチャートをよく見ない人でも、直近だけは確認していたりするわけですよね。それはなぜかというと、直近は見やすいからです。

そのことによって、やっぱり、「直近高値」とか「直近安値」というのは価格が止まりやすい、価格が支えられやすい、抵抗されやすい…そういった「節目になりやすい」というのがあります。

そんなことで、「利用可能性の誤謬」というのは、判断ミスをすることにも繋がる、というような書き方をしていますけれども、一方で、トレードをする中で、1つ、「利益の源にもなりやすい」「チャンスにもなりやすい」というような側面もあるんだよ、ということを同時に押さえておいていただきたいな、と思います。

 

まあ、先ほど、「直近の履歴はよく見るけれども、過去に遡ってあまり履歴は見ない、それはアクセスがしづらいからだ」というようなことを言いましたけれども、つまりこれは直近のデータだけをこの確率測定の要素としやすくなってしまう、ということなんですね。そのことによって「確率の測定を誤り…」という風に書いた、という補足でした。

初頭効果

はい、次。「初頭効果」ですね。

今の、「直近のデータの方がアクセスしやすいから、それによって利用可能性の誤謬が起きますよ」ということを言ったんですけれども、必ずしも…、まあ今のはそれは記録とか記憶に関する話なので、その直近データ…「現在に近いところが凄くアクセスしやすい」って話をしたんですけれども、場合によっては、「最初に出てきたことが凄く印象に残って、情報としてアクセスしやすい」というようなことがあったりもします。

例えば、人の話を聞く時なんかはそうだと思うんですけれども、やっぱり最初に言われたことというのは強く印象に残りますね。

いろんな情報を並べて、こう、羅列された時に、最初にバンと言われたこと、これが凄く印象に残って、そういった数々のいろんな情報の中で、そこに対する情報のウエイトが凄く大きくなってしまう、ということが起きたりします。

 

「相場環境や自身のトレードの評価を誤る可能性あり」っていう風に書いてあるんですけれども、例えば相場環境の話で言うと、「今日日経平均凄い下げたよね、最後盛り返したけど」っていう言い方と、「最後盛り返し凄かったよね、最初下げてたけど」って言った時には、やっぱり最初に言ったことの方が、これ、同じ情報を今順番を変えて言っただけなんですけれども、最初の言い方に関しては、「めちゃくちゃ下げた」っていうところがクローズアップされやすいですし、後の言い方に関しては「盛り返した」っていうところがクローズアップされやすいですよね。

…そんな感じで、「どっちを先に言うか」っていうことによって、その評価…相場環境に関する評価が変わってしまう、ということなんですね。

 

トレードに関してもそうです。例えば、「凄い負けました。最後に巻き返しましたけど」って言う時と、「最後、しっかり巻き返すことが出来ました。最初は負けていましたけど」って言う時とでは、同じ情報を伝えていても、ポジティブさ加減・ネガティブさ加減というのが全然違いますよね。

…という感じで、時には、先に言ったことの方が強く印象に残って、その評価においてのウエイトが凄く高くなってしまう…っていうようなこともあるよ、という。

…何か、「利用可能性の誤謬の逆もあるよ」ということですね。これも一応、押さえておいてもらいたいなと思います。

 

何れにしても、複数の情報を入手した時に、ある一方の情報には重いウエイト付けをして、片方を軽く見る…ということは、それらを元に確率の測定などをする時に、その確率の見積もりを間違えてしまう。

それによって、確率を元に行うリスク評価も間違えてしまう…そういったことにも繋がり得ることなので、そういったことを押さえておいてもらいたいなと思います。

アンカリング

はい、次。「アンカリング」ですね。

アンカリングというのは、「アンカー」から来ています。「アンカー」というのは、ここに書いていますけれども、船の錨です。「怒る」じゃなくて、船を停めておく錨ってありますよね、あのグサッて地面に刺しておくやつ。あれから来ているんですね。

錨を下ろすと、潮の流れがあったとしても、そこを中心にグルグルと回るような動きをするわけですけれども、その状況と、このアンカリングという心理の状況が似ていることから、「アンカリング」というような名付けられ方がしたわけです。

 

要するに、1つ思考をする中で、利用しやすい参考値というものを見付けて、そこを中心に、そこに過大なウエイトを置いて、その周りでのみ思考を行うようなことをしてしまう…ということから、「アンカリング」っていう名前が付けられているわけですけれども。

まあ、分かりやすい例で言えば、例えば「特定期間の高値・安値など、解りやすい数字は強く意識されやすい」ってことですね。

目立った高値とか、目立った安値とか、って言うのがあった時に、人間は「その間で価格が推移する」と考え…「これ、レンジになるよね」とか言って、その上限では売る・下限では買う、というような判断をするわけですけれども、これは正しく「解りやすい高値・安値というものをアンカーにして相場変動を判断しようとするアンカリング」ですね。

人間がアンカリングの影響を受けていることの一番分かりやすい例かな、と思います。

 

…ちなみに、僕、船舶免許も持っているんですけど…、だから船に詳しい人からツッコミを受けたら嫌だな…と思って一応エクスキューズしておくと、グルグル船回らないですよね。ズルズル…ってアンカーを引っ張って、船、下がって行きますけれども。

今、話を分かりやすくするためにそういう言い方をしましたけれども、実際にはアンカーを中心に船がグルグル回るっていうことはあまり無いですね。

はい、それは分かった上で話をしていますよ、ということですね。

代表性の誤謬

最後ですね、「代表性の誤謬」…「誤謬」が付いたりもしますけれども、これは、「個々の事情の有する特性がその事象が所属するグループの特性を表象していると考えてしまうこと」…多分ここまでの説明の中で、日本語が一番分かりづらかったかな、と思うんですけれども…。

これはね、具体例を挙げちゃった方が早いかな、と思います。

皆さん「アメリカ人ってバスケ上手いだろう」と思ったりしますよね。「ブラジル人ってサッカー上手いだろう」と思ったりしますよね。

あれはなぜかと言うと、アメリカ人の凄くバスケが上手い人を見たことがあるから、「アメリカ人=バスケが上手い」と思っちゃうんです。ブラジルのサッカーに関しても同じで、凄くサッカーの上手いブラジル人を見たことがあるから、「ブラジル人は皆サッカーが上手いんだ」と思ってしまうんですよね。

同じように、日本人も、国によっては「皆、柔道が上手い」と思われていたりしますけれども…全然そんなことないですよね。でも、何で彼らは「日本人が柔道が皆上手い」と思うのかというと、オリンピックに出ている日本の選手が強いからです。

 

…というような感じで、ある特定のセンセーショナルな事象を1つ見ると、それがその属するグループの属性…だからこれ、ちょっと当てはめながら説明をしようかなと思うんですけど、「個々の事象」というのはアメリカチーム…アメリカ人のバスケの選手です、「…の有する特性」というのが、「バスケが上手い」ということです。

だから、これ、特定の事象なんですよね。一部のアメリカの人達しか見ていないんですけど、その人達が有する特性が「バスケが上手い」ということだったので、その事象が属するグループ…つまり「アメリカ」ですね、「アメリカの人達」っていう風に一般化してしまうわけですね。

そのアメリカ人全体が「バスケが上手い」という特性を持っている、と考えてしまうことを、「代表性の誤謬」と言うわけです。

日本の柔道だったら、日本のオリンピック選手…柔道のオリンピック選手が、「柔道が強い」という特性を見た結果、「日本人は全員柔道が上手い」と思ってしまうこと…これが「代表制の誤謬」なわけです。

 

これは相場においても起きやすくて、例えば「ここ3回の雇用統計は全部下げているよね」というようなセンセーショナルな事象、それも下げ方が物凄かった時には、「ああ、雇用統計の時にはめちゃくちゃ下がるんだな」とか考えちゃったりとか…そんなことはないですよね。たまたまここ3回、3連続起きたら、それがセンセーショナルなんでしょうけれども、あくまでその3回、たまたまそういう風になっただけで、それが相場の常であるかどうかっていうのは、もっと長い期間、過去何年分もの雇用統計の結果を見ないと、それは分からないわけですよね。

だから、この「代表性の誤謬」というのは、結局何が原因で起きるかというと、「しっかりと検証をしない」ということなんですね。「時間を掛けて全体事象を見ようとしない」ということによって起きることなんですね。

 

先ほど、カテゴライズの話をしましたけれども、「代表性の誤謬」というのは時間の短縮のために行われるものです。時間の短縮というのは、それが合理的な理由で行われることもあるんですけれども、往々にして面倒くさいから行われることが多いんですね。

相場においては、その検証に掛ける時間がもったいないというか、検証に時間を掛けるのが面倒くさい、ということが原因で検証が雑になる・あまり多くのデータをしっかりと検証しなくなる…ということがということが原因で、…今言ったみたいな雇用統計の例は極端ですけれども、似たようなことが沢山起きてくる。

それが原因で相場で勝てない、っていうことに繋がってしまうという、そんなことになるわけです。

 

まあ、そんな感じで、ちょっと駆け足で6類型、ちょっと話をしてきましたけれども…。

ヒューリスティックというのは、「複雑さの減少」と「迅速な情報判断」というものを目的にして…というか原因にして起きます。

何れにしても、合理的な理由があることもあるんですが、「多くの情報を扱うのは面倒くさい」「時間を掛けて情報を扱うのは面倒くさい」、大体がこの分析とか検証というものを面倒くさがった時に、このヒューリスティックは人間の敵・トレーダーの敵になりやすくなるものです。

なので、こういった「ヒューリスティックの影響によってトレードが上手くいかない」ということを防ぐためには、「面倒くさいと思うことをあまり面倒くさがらずにやる」ということが1つ大事になるのかな、と思っています。

 

一方で、ヒューリスティックはトレードの敵にもなり得ることですけれども、多くの人が面倒くさがってヒューリスティックの影響を受けている場面というのは、相場においては優位性の源になることもあります。

そんな例を挙げたトピックも何個かありましたけれども、そういったところは、積極的に注目することによって、1つ、トレードの優位性を見付ける何か端緒にしてもらえればいいかな、と思います。

そんな感じで、今回のキャプチャーは以上になります。

まとめ

如何だったでしょうか?

今日は6個も類型があるということで、凄く、扱う情報量としては多くなってしまったんですけれども、こういった、インプット量が凄く膨大になった時には、1つ整理して頭に入れると、効率良くインプット出来ると思います。

整理の仕方として、今日は「2つのカテゴリーに分けることができますよ」という話をしたんですけれども、ヒューリスティックに関しては、それが起こる原因によって2つに分けられるよ、という話をしたんですね。

1つは、「情報量を少なくする」ということ。情報の量に着目したカテゴリーですね。もう1個の方は、その情報を扱う時間の方に着目したカテゴリーですね。こういった風にすると、2つに分けられるので、こういったカテゴライズをすることによって、頭が整理されて、インプットしやすいかなと思います。

 

あとは補足として言っておくと、トレードにおいて敵にもなり得るし、味方にもなり得る、って話をしたんですけれども、ヒューリスティックの影響を自分が受けてしまう場面というのは、やはりどうしてもトレードの敵になってしまいます。

だから、まずはそれをどのように排していくか…ということなんですけれども、ヒューリスティックは「直感的推論」と訳されますよ、と話しましたけれども、「直感をトレードに持ち込んだ時に、ヒューリスティックの影響を受けてトレードに間違いが生じる」わけですね。

だから、裏を返せば、トレードをする中で直感の影響を受けづらいようなトレードのルール・トレードの執行を行うというのが役に立つのではないかな、と思っています。

 

具体的な施策として一番分かりやすいのは、やはりシステムトレードを導入する、ということ。…僕なんかもそういう風にしていますけれども、トレード中にどんな勘違いをしたとしても、関係なく執行してくれますから、そういう意味では、システムトレードを入れるというのは1つ、一番分かりやすい解決策なんじゃないかな…と思っています。

それから、裁量でトレードする人に関しても、全部裁量でやらなくても良いわけですよね。一部はシステマティックなルールにすることが出来る部分っていうのもあるはずですから、そういったところはそのようにすると良いかな、と思います。

例えばトレードルールをチェックリストにするとか、少なくとも言語化するとか、そういうことをした上で、その上で裁量要素を載せたようなルール機構にしておく。そうすると、「直感的な何か勘違いによってトレードをミスる」っていうことがある程度防げるんじゃないかな、と思います。

どれだけトレードの準備をしているかによって、「トレード中の直感的推論によるミスがどれだけ防げるか」っていうことが決まってくるかなと思いますので、そういった視点で、1つ、直感的推論・ヒューリスティックを捉えてもらえれば良いかな、と思います。

 

一方で、チャンスにもなり得るヒューリスティックです。

自分がヒューリスティックの影響を受けることはなるべく排しながら、他のプレイヤーがこういう場面でヒューリスティックの影響を受けて、それによって価格変動が起きやすいよね、っていうところを客観的に見つめるっていうこと…こういったことにも挑戦してみてもらいたいな、と思います。

 

ということで、今回の動画は以上になりますけれども、今回の動画が少しでも勉強になった・役に立ったと思っていただけた方は、チャンネル登録と高評価、是非よろしくお願いします。

それから日々のポジションの共有なんかもやっていますので、興味がある方はTwitterのフォローをお願いします。

以上になります。それでは皆さん、ごきげんよう。