【書評】これは読んでほしいイチ推し本 ゾーン「勝つ」相場心理学入門

【書評】これは読んでほしいイチ推し本 ゾーン「勝つ」相場心理学入門

今回は書評をお送りしようと思います。

僕が今まで読んだ本の中からお勧めの書籍を1つ選んで、皆さんにその書評をお届けするという、そんな動画ですけれども…。

 

今回扱うタイトルはコレです! ジャン。

『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』

ですね。マーク・ダグラスという人が書いています。

この本を初めて読んだ時期というのは正直よく覚えていないんですけれども、なぜ僕がこの本を手に取ったのか、という理由については鮮明に覚えています。

それはズバリ、名前の格好良さですね。ゾーン!!

 

僕は元々バスケをやっていたんですけど、「ゾーン」というと、ディフェンスのストラテジーなんですね。

各プレイヤーが自分の持ち場を責任持って守る「ゾーンディフェンス」という戦略があるんですけれども、何かそれと重なって、相場のこのチャートの場所を…まあ縦で割るのか横で割るのか分からないんですけれども、こういう区分けをして、そこを分析していく…みたいな、そんなイメージを持っちゃったんですね。

ここに「相場心理学」って書いてあるにも関わらず、僕はどういうわけかこの本を、何か勝つ方法が書いてある・手法が書いてある本と勘違いして買ってしまったんですね。

極め付けは、この著者の名前ですよね。「マーク・ダグラス」。

僕は『ウォール街』っていう映画の大ファンなんですけれども、あれの主演の俳優の人の名前が「マイケル・ダグラス」っていうんですよ。

だからもう、この本を書いた人は、きっとあのマイケル・ダグラスのようにオールバックのカッコイイおじさんなんだろうな、と思ったわけですね。

実際このマーク・ダグラスさんも、割とオールバックの格好良いおじさんなんですけれども…。

そんな感じで、最初、イメージ先行で選んでしまった本だったんですけれども、きっかけはともあれ、この本、「読んでおいて本当に良かったな」と思える本でした。

ゾーンとは心理学用語

この「ゾーン」っていう名前なんですけれども、当然、(バスケの)ゾーンディフェンスの「ゾーン」ではないんですね。
あくまでこれ、心理学の用語ですので、「ゾーン」っていうのも心理状態を表す言葉です。

どういう心理状態なのか、ということなんですけれども…例えば、トレードをしているといろんな感情が表に出て来ますよね?

「もっと儲かるかもしれない!! もっと引っ張ってやろうかなー??」

みたいな欲だったりとか、あるいは、

「損をするかもしれない…」

と思えば、恐怖心が芽生える。

実際に損をしてしまえば、悲しい気持ちになるかもしれないし、怒りが出て来るかもしれない。

いろんなこういう感情に振り回されて、トレードというのは本来行うべき手法からズレていってしまうわけです。

それが、そういった感情が出ずに、ただ淡々とやるべきトレードを正確に執行出来る…、そういった精神状態に入れることを「ゾーンに入る」と言うわけです。

 

最近であればスポーツ選手も「ゾーンに入る」という言葉をよく使います。

大記録ですとか、あとは大逆転勝利とかね、そういった活躍をする選手は、往々にしてこの「ゾーンに入った」精神状態でプレーをすることが出来ているわけです。

こんな一流アスリートみたいな「ゾーンに入る」という精神状態をトレード中に作るにはどうしたらいいのか?

…ということが書かれている本が、このマーク・ダグラスの『ゾーン』という本なんですね。

 

この『ゾーン』という本ですけれども、もちろんその、先ほど言ったように「どうしたらゾーンと呼ばれる精神状態を作れるのか?」ということについて書いてあります。

それよりも、僕自身がこの『ゾーン』を読んで良かったなと思った一番のポイントというのが、この『ゾーン』という本には、

「なぜ、トレーダーが良いメンタル状態を作れないのか?」

「なぜ、メンタルが原因で失敗してしまうのか?」

という原因について、かなり詳細に・科学的に・論理的に書いてあるんですね。

その点がこの本の一番良いところだと思います。

 

人間にとって「冷静になる」のは難しいこと

初心者の時なんかはそうだったんですが、「もっと冷静になろう」とか「怒らないようにしよう」とか、「もっと待とう」とかね、あとは「ビビらずに、決まったルールのところでちゃんとエントリー出来るようにしよう」とか…そのゴールの設定はするんですよ。

「こういう風にありたい」っていう意味でのゴールですね。

「こういう心理状態を作りたいな」っていうゴールを設定するんですが、これがなかなか達成出来ない。

…このギャップに苦しんで、「自分はなんてダメな人間なんだ」ってことで、よく悩んでいました。

 

でも、この『ゾーン』という本を読んで分かったんですけど、「ゴールを達成出来ない」「良い精神状態を作れない」っていうのは、実は、僕自身がダメな人間だから…ではなくて、「人間・動物というものは、トレードみたいな場面において、良い精神状態を作るのが難しいように出来ているんだ」…そういうことが書いてあるわけです。

要は、「普通の人間はトレードで勝てないんですよ」「スタート地点からトレードに不向きなんですよ」という、そういうことが書いてあって…

要は、自分がダメな人間だから負けているのではなくて、普通の人間から脱却しないといけない、人であることをまず辞めなきゃいけない…みたいな、そういうところに気付けた、というところですよね。

そこが、この『ゾーン』を読んで一番良いな・良かったなと思えた点です。

 

例えば、この『ゾーン』という本の中では、お猿さんを2匹使った実験が出て来るんですね。

このお猿さん、芸を出来たら餌をあげるよ、というルールでやっていくんですけれども、その餌のあげ方に差を付けるわけです。

一方のお猿さんは、芸が出来たら毎回必ず餌をあげるんですけど、反対側のお猿さん…こっちのお猿さんには、芸が出来ても餌をあげたりあげなかったりするんです。

結果として、芸に対してどっちのお猿さんが熱心に打ち込んだか。…皆さんもちょっと考えてもらいたいんですけど、どっちだと思いますか?

こっちの、コンスタントに餌が貰えるお猿さんの方だと思いますよね?

…思うんですけど、結果は逆なんです。餌を貰えたり貰えなかったりという、この、ある種ランダムなエサの貰い方をしていたお猿さんの方が、一生懸命芸をしたのだそうです。

その理由は何だったかというと、動物の本能なんですね。

動物は、得られる報酬がランダムであればあるほど、その報酬の価値を高く感じるように出来ているそうです。「嬉しい」という快感を得るように出来ているそうなんですね。

だから、「毎回、芸をやったら餌を貰えるよ」という当たり前の報酬よりも、「もしかしたら貰えないかもしれない…けど貰えた、嬉しい!」…この快感の方が大きいわけです。

トレードに置き換えると・・・?

これを人間がトレードをする時に置き換えて考えてみると、例えば、ちゃんとルールを作ってそのルールを守って、コンスタントに得られる利益があったとしても、時々ギャンブル的なトレードをして、「大抵負けるだろうな」「危ないだろうな」と思いつつも、その危なさの中で得られる報酬というのは、快感が大きいわけです。

コンスタントに得られる報酬・利益よりも、このギャンブルで得た利益の方が快感が大きいわけです。

この一度得た快感というのは、なかなか体から離れない、忘れられないので、人はトレードをする時にルール違反が癖になりやすいわけですね。

 

だからどうするか。

これはもう僕の考えですけれども、やはりこういった快感を覚えないようにする・経験しないようにするということが非常に大切で、一度でもルール違反をして、それがたまたま勝ってしまったりすると、それがその次のルール違反の負けに繋がる…その負けの種になってしまうんだ、ということ、これを知るということです。

これを知っていれば、この「種になってしまう」という事実を知らない人に比べれば、ルール違反に対するハードルの高さって明らかに違うと思うんですね。

だから、そういう意味で、こういう風に「人間がトレードに不向きな性質を持っている」、「どういう性質を持っているのか?」ということを知ることは、「トレードを実際にどういう風に行うか?」ということをかなり劇的に変えるツールになると思います。

 

何か物事・問題を解決するという時には、その問題の原因を知らなくてはいけません。

ただ闇雲に「頑張れば良くなる」…かつての僕のメンタルに対する捉え方はそういう感じだったんですけれども…「一生懸命やっていれば、心は強くなるよ」って思ってやっていくと、これ、凄く効率が悪い。

ずっとやっていればもしかしたら本当に強くなるかもしれないけど、それまでにお金、無くなっちゃいますよね。

だから、やっぱりトレードの上達って、効率的にやっていかなきゃいけないんですけど、ここで一番時間が掛かる分野がメンタルの問題なんですよ。

だから、メンタルの問題を効率良く解決するためには、さっきも言いましたけれども、

・その問題の原因を正しく知ること

・そこに対して効率的なアプローチをすること

…が非常に大事になってくるんですけれども、この『ゾーン』という本は、そういったアプローチを自然と出来るような構成になっているわけですね。非常に良い本だと思います。

 

ただ1点、イマイチな点を挙げるとすれば、「ちょっと文章が冗長かな」という感じはします。

長い。同じことを…まあ僕も喋っていてちょっとそういうところがあるんですけど、同じことを、何回も何回も言うんです。

手を変え品を変え、例を変えてね、同じ話を…。

「結局同じ結論じゃん」というような話を何度も何度もするので、一番必要なエッセンス部分に対して、本の厚みはちょっと分厚過ぎる…という難点はあります。

ですから、例えばサラリーマンの人、兼業トレードをしている人、兼業トレーダーをやっている人なんかにとっては、これ、読むのがなかなか辛い本なのかもしれないですね。

 

…ただ、この点についてちょっと擁護しておくと、メンタルの話って、よく抽象論になりやすい。

心の問題って抽象的になりやすいので、具体例を用いると凄く分かりやすくなるんですけれども、どの具体例が読んでいる人にとって腑に落ちるのか、というのは人によってバラバラです。

だから、いろんな具体例を挙げておいて…例えば3個の具体例を話した中で・書いた中で、そのうちの1つがこの人には当てはまるかもしれない、ということが結構あるわけです。

恐らくこの著者のマーク・ダグラスさんはそういったことを意図して、同じことを主張するのでも、いろんな例を出して説明しているんじゃないかな? …ということを思ったりもしています。

時間の無い方にはオーディオブックがおススメ

あと、「時間が無くてなかなか読めない」「こんな分厚い本、読めない」って思う人のためにちょっと1つ朗報があるんですけれども、この本はオーディオブックが売られています。要は、朗読した音声ですよね。

このオーディオブック、なかなか良い声だし、聞きやすいので、オーディオにしてしまえば倍速とかも出来るから、「効率的にメンタルを良くしたい」「メンタルの問題を解決したい」という人には、このオーディオブックも併せて是非オススメしたいと思います。

 

『ゾーン』という本、本当に良書です!

是非、読んでもらいたいと思います!

 

ということで、今回の書評はお終いです。

今回の動画が少しでも役に立った・勉強になったと思った方は、高評価とチャンネル登録、是非よろしくお願いします。

 

それでは皆さん、ごきげんよう!