【暴露】元証券マンの本音 客に稼がせる気はなかった

どうも、メタトレ研究所のHiroです。
今回は「証券会社の闇エピソード3選」という内容で話をしようと思います。
僕は大学卒業後に、1度だけ、就職をしたことがあります。
証券会社だったんですけど、すぐ辞めちゃったのでね、あまり話すことも無いかな…と思って、その時の話を積極的にすることって無かったんですけど、せいぜい冒頭コメントでちょっとネタにするぐらいだったんですよね。
でもそれが結構ウケる…っていうのと、やっぱり特殊な風土の会社だったので、オフ会とかでね、何かちょっとそういう話をすると結構盛り上がったりするんですよね。
まあ、そういうことがあって、「もしかしたら需要がある話なのかな」ということで、今回は「短い証券マン人生の中で経験してきた闇エピソード」というものを3つ選んで話をしていこうかなと思います。
本当はその3つと言わずとも、細かいところも挙げたら結構沢山あるんですけれども…。
まあ、例えば、
「毎日電話を何百件も掛けた」
とか、
「外回り営業で毎日ピンポンダッシュをしていた」
とか、
「毎日上司がキレまくっている」
とかね、
「事務所でボールペンが飛んでくる」
「四季報が飛んでくる」
とか、
「椅子を蹴っ飛ばされる」
とかね、そういうことは別にあったんですけど、まあ敢えてそんな、僕が話さなくてもね、そんなのは皆、既に知っていることだと思いますので、そういったところを除いたエピソードから3選というものを選んで話をしようかな、と思っています。
投信乗換営業
そんなわけで、3選、話をしていきますけれども、まず1個目、「投信乗換営業」ですね。
「投信」って、「投資信託」のことですけれども、投資信託というのは、まあ言わずもがなだと思うんですけど、お金をお客さんが投資信託会社…つまり運用会社に預けて運用してもらう、という商品です。
大体の商品は、買付時・運用時・売却時に手数料が発生します。証券会社の収益というのはその手数料ということになるんですけれども、この時、お客さんが買った投信をずっと保有し続けていると、今挙げた3つの収益源のうちの1つ、運用フィーしか上がってこない・発生しないわけですね。
だから、証券会社の営業マンとしては、1つの投信を買ってもらった後に、それをずっと保有してもらうよりも、コロコロと次から次へと投資信託を買い替えて貰った方が、3つ収益が取れますから…つまり買付・売却手数料ももらえて、手数料的には凄く儲かるわけですね。
実際、この一昔前の証券営業というのは、
「投資信託をずっと持っておくと、長期的にリターンを望めますよ」
というセールストークをしておきながら、いざ買った後になると、
「もっと良いものが出ました! 乗り換えましょう!」
ということで、次々と新しいものを買わせる。
…この辺の話というのは、Googleなどで検索してみると沢山出てくるんですけれども、これって実はあくまで昔の話でして。
今はコンプライアンス的に凄く厳しくなっていて、なるべく出来ないようになっています。
まあ、こういうことをしていると、まあイメージ出来たと思うんですけど、お客さんの資金というのはすり減る一方ですし、実は運用会社としても「預かり資産が増えていかない」というような、「困ったな」というような事情があったわけです。
ちなみに、投資信託会社と証券会社というのは別の会社で、投資信託会社というのは運用をする会社なんですね。証券会社というのは販売をする会社なんですね。
これ、パワーバランス的な話をすると、どうしても証券会社の方が強いんですね。
…そんなことがあって、投資信託会社としてはあまりコロコロ乗換営業とかされると、自分のところの運用資金が安定しない、ということで「運用しづらいな」と困ってはいたんですけど、こういったパワーバランス的な観点から、そういった状況を甘んじて受け入れている、というような現実もあったわけです。
その結果、投資信託会社としても、この信託財産が健全な形で伸びていかないで、運用が上手くいかない…ということがあって、結果、この証券会社が好きなように乗換営業をし過ぎたせいで、業界全体が上手く回らない…っていうことも生まれていた、ということで、2013年とか14年っていうのが多分節目になる年だったのかな、と思うんですけど、…ちなみに僕もその辺りで会社に入社したんですけれども、こういった乗換営業には規制が掛かってきます。
金融庁のお達しとか社内規定の両方からがんじがらめ…って感じになっていたんですね。
実際僕がいたところでも、「月に何回しか乗換はしちゃダメよ」とか「乗換をするなら合理的な説明をちゃんとお客さんにしてね」とか、そういうような、全面禁止ではないんですけど、乗換営業するなら物凄く厳しいルールがあるよ、ということで規制がされていたわけです。
あと、たまに短い保有期間での乗換は怒られる…とかね、そんな感じです。…すみません、具体的な数字とかがもう大分昔の話なので飛んでしまってるんですけれども、とにかく証券会社の営業マンというのは、そんな厳しいルールと、あとは一般的に言われるような、社内で課されるノルマです、こういったものとの板挟みになりながら、本当に地獄のような営業マンライフを送っている、という印象でした。
はい、今のが、ちょっと長くなったんですけど、1つ目の話でした。
証券担保ローン
はい、2つ目ですね。これが、「証券担保ローン」。
意外と知られていないんですけど、証券会社の中には金貸しもしているっていうところが結構あります。
今では銀行と連携している証券会社なんかも結構あるので不思議ではないのかもしれないんですけど、実は僕がいたような、銀行と提携していない、いわゆる独立系の証券会社でも、お金を貸していたりします。
そのお金を貸す対象者としては、「金融商品を保有している人」ということになります。その保有する証券を担保にして、お金を貸すわけです。
例えば株式だったら、保有している時価の70%とか、債券ならもっと高め、とかね…そんな感じで融資額が決まるイメージです。
ちなみに融資をするにあたっては、普通、使途って指定されますよね。
お金を借りる時に「こういう用途で使うのでお金を貸してください」、自動車ローンであれば「車を買うので、購入原資としてお金を貸してください」、住宅ローンであれば「家を買うのでその原資としてお金を貸してください」みたいな感じでね、使途が普通指定されるのがローンの一般的なものですよね。…まあ消費者金融とかはなかなかちょっと違いますけれども。
この証券担保ローンの使途というのは、自由ということになっています。
自由ということになっているんですけど、大体の人は、「自由なので各々よく考えて使ってみてくださいね」っていう使途だったわけですね。
…僕が経験したケースとして、まあ飛び込み営業をしていたんですけれども、あるお客さんが興味を持ってくれたんです、僕が提案する商品。
興味を持ってくれたんですが、このお客さん、ちょっと問題を抱えていまして…もう既にパンパンに商品を買ってしまっていたんですね。
投資信託と株は沢山持っているんだけど、もうそれ故に現金がない、「ごめんね」…っていう風に言われてしまったんですよね。
そこで、支店に帰って上司に相談したんです、「一生懸命今日は飛び込みしてきました、1人お客さんが凄く興味持ってくれたんですけど、『お金が無いので買えない』って言われちゃいました」という風にね。
投資信託を売ってお金にして買ってもらう、っていうことも考えたんですけど、さっき説明したような規制があったりしますので、簡単にはこれは勧められないですよね。
「持っている株を売ってお金にしてください」っていうことも提案しようと思ったんですけど、よくよく聞いてみると、その持っている株というのは取引先の銘柄だったんですね。だから簡単には売れない、という状況だったんですよ、という。
…そういう感じで、とにかく保有している金融商品が売れない状況だったんですね。
そういった中で、現金も他所にあるわけでもなく、「どういう風に買ったら良いか分からない」ということで、上司に相談して、上司が切り出した札というのが証券担保ローンだったんですね。
証券担保ローンのリーフレットというのがあって、これを僕に渡すわけですよ、「このリーフレットをスッとお客さんのところに置いてきなさい」と。
「Hiroよ」…まあHiroって呼ばれていたわけじゃないんですけど、「なぜ俺がリーフレットをお前に渡すかは、その意図は察してくれ。但し、その意図はお客さんに絶対に伝えるなよ」と。
…分かりますか? これ、意味。
つまり、今持っている金融商品を担保に借金をしてもらって、それを新たな投信購入の原資にしてもらえ、っていうことなんですけど…。
「お金を借りて投信を買いましょう」
というのはコンプライアンス的にアウトなんですよね。
だから、言わずに、向こうに思い付かせろ、と。そういうような意図で、上手にこのリーフレットを置いて提案してきなさい、っていうことを言っていたわけですね。
まあ、「上手くやれよ」ということです。まだ若かったこともあって、なかなかに驚きました。自分で言うのもアレですけど、結構大手の会社に勤めていました。当時、そういう自負がありましたから…まあ何かね、この話って凄い、『闇金ウシジマくん』とかにも出て来るようなエピソードなんですよね。
まさか、こういう会社に勤めているのに、丑嶋クンみたいなことをするのか…っていうことでね、かなり動揺した覚えがあるんですけど…。
上司としては、僕に営業成績を上げてほしいという愛情だったのかもしれないんですけど、当時の僕には、その愛を受け止めて感謝するだけの度量が無くて、ただただびっくりして、暗い気持ちになった…っていう、そういうエピソードでした。
まあ、どうですかね。「このぐらいの話は別に普通でしょ」って思う人もいるかもしれないし、「ウシジマくんみたいだよね、ちょっと怖いよね」って思う人もいるのかもしれないんですけど、まあそんなエピソードがありましたよ、ということですね。
社内監査
はい、3つ目。3つ目は「社内監査」ですね。
分かりますかね? 今、会社は凄いがんじがらめでコンプラ的に凄いルールで縛られていますよ、そういった中で営業活動を日々やっているんですよ、って話をしたんですけれども、大きい会社になると、コンプライアンスを司る専門の部署っていうものが置かれていて、そういったコンプライアンスを司る部署の人達が支店まで検査をしに来るんですよね。
「ヤバい売り方してないよね? 君達」みたいなね、そういったことを調べに来るんですけど、イメージしやすい例としては、一昔前にやっていた『半沢直樹』ってドラマがありましたよね。近く続編がやるんだったような気がするんですけど、あのドラマの中でも監査部の人達がある日突然支店にやってきて何か皆が戦慄する…みたいな、そんなシーンがありましたけれども、あんな感じです。
あんな感じなんですけど、僕がいたところの実際では、監査は、「ある日突然やってくる」ということではなくて、事前に知らされます。「〇月〇日に行くからね」っていうのが知らされるんですね。
凄く印象に残ってるんですけど、「その時期だけめっちゃシュレッダー使うじゃん、皆」みたいな…。
普段であればシュレッダーのゴミなんていうのは大体2~3日に1回ぐらいしかいっぱいにならないんですね。「監査から来る」っていう前、1週間ぐらいの時期だけ、シュレッダーがやたらパンパンになるんですよ。
外回りなんかして帰って来た日には、シュレッダー、最早動かないんですね。「ガガガガガ」とか言って、詰まってるんですよ。
なぜあの時期だけやたらと書類がシュレッドされていたのか、っていう…どの書類がシュレッドされていたのか、というのは僕には分からない、さっぱり見当もつかないわけですけれども、そんなエピソードがありましたよ、という話でしたね。
監査というのは抜き打ちみたいな感じでやられるのではなくて、事前に知らされて、それに対して支店もある程度準備をした上でやられる、っていう…ある種、茶番みたいなものだった、っていうことなんですよね。
まとめ
…まあ、そんな感じで3つエピソードを話してきましたけれども、何かね、Googleなんかで検索すると、如何に証券会社があくどい営業をしていて、お客さんを嵌め込んで汚いやり方で手数料を稼いでいる…「こいつら酷い会社だ」みたいなね、そういうことが結構書かれていますけど、多分あれはね、時代背景が古いとうか、今の時代に合っていないかな…と思います。
現在の証券マンというのは、厳しいノルマと、一方でコンプライアンスの厳しさと、っていうので、ある種、板挟みになりながら仕事をしているわけですよね。
ちなみに、本社機能としてコンプライアンス部署がありますよ、という話をしたんですけど、これとは別に、各支店にコンプライアンス役職のおじさんが1人置かれているんですね。
大きい支店だと多分2人、3人置かれているかもしれないんですけど、毎日キレていました、この人。「何だこの営業電話は!」みたいなね。
…そう、営業の電話とかも全て録音されていますから。そういった営業の電話を録音して、コンプラの人が録音された営業の電話を聞いて、「おい、このセールストークはヤバくねえか」みたいなのがあると、次の日その人が詰められる…みたいな。
日々の業務として、業務が始まる前に朝会っていうのがあるんですね。朝の会。学校とかでもあったでしょ?
ああいうのが会社でも行われていて、朝会、2回あります。1個は課ごと(部署ごと)の朝会・もう1個は支店全体の朝会…っていうのがあって。
先に課ごとの朝会をやった後に全体の朝会が行われる、みたいな感じなんですけど、最初の課ごとの朝会の中でまず上司が、「お前、どうやって売るんだ?」っていう風に詰めてくるわけですよ。
まず「どうやって売るんだ?」っていう風に詰められた後に、その後催される全体の朝会の中でコンプラの人からまた詰められる…みたいな。もう、正に板挟みですね。
それが現代の証券営業のリアル、ということなんですよね。
まあ一方で、その板挟みを乗り越えた優秀な営業マンっていう人は、やっぱり沢山お金を貰っていましたよ。30歳手前で年収1,000万とかは普通にいる印象でした。全然日系の、日本の会社でしたけど。
はい、そんなわけで、証券会社の闇エピソード3選という内容で話をしてきましたけれども、1つ目が「投信乗換営業」、2つ目が「証券担保ローン」、3つ目が「社内監査」。…そんな感じで3つお届けしましたけれども、どうですかね、主に就活生の人かな、そんな話を知った上で「それでもやりたい」「高収入を目指したい」っていうことであれば、是非どうどうぞ…って感じです。
はい、以上です。今回の話が少しでも勉強になった・役に立ったということあれば、是非チャンネル登録と高評価よろしくお願いします。
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以上になります。それでは皆さん、ごきげんよう。