保険のカラクリ話します

保険のカラクリ話します

どうも、メタトレ研究所のHiroです。

今回は、「保険に入るべきかどうか問題」について動画を撮ろうと思います。

なぜか、訊かれます。
保険会社に勤めていたことは無いし、代理店を営んだことも無いんですけれども、何か訊かれます。

それは一般的には1つの括りなんでしょうね、「金融」というところで。
大きなものだと生命保険とか、自動車保険とか。細かいものだと、本当に、スマホの水没保証とか、PCが壊れた時の修理代をヘッジする延長保証…あんなものまで、結構訊かれたりします。

この話っていうのも、皆さんにも需要がある話なのかもしれないな…ということで、今日、動画を撮ることにしました。

保険会社のビジネスモデルについて

まず、「保険に入るべきかどうか」という話をする前に、その前提として、「保険会社のビジネスがどういうものなのか」ということについて理解してほしいな、と思います。

保険会社のビジネスというのが、保険料を売上として、それを主たる収入源だという風にしているビジネスだ…と理解している人が結構多いみたいなんですよね。

「それが実際には違うんだよ」というところから話をしないといけないな、と思っています。

保険会社の本来のビジネスというのは、「保険料を集めること」ではありません。保険会社の本来のビジネスというのは「運用」なんですね。保険商品というのは、その運用原資を集めるための手段です。

「様々な保険商品を売って、保険料という形で集めたお金を、いろんなところに投資をして、そのリターンで収益を上げる」
というのが、保険会社の本当の姿なんですよね。

例えば、日本で一番大きな生命保険会社の運用ポートフォリオを見ると、35%が公社さんへの投資、30%が外国証券、13%が株式。11%が貸金…企業にお金を貸したりする、ということですけど、貸し先としては結構、電力会社とかガス会社とか、「お金を貸す」というところに11%。

「意外に少ないな」と思ったのが不動産だったんですが、ここに2%…という感じです。
そんな感じの比率で投資をしている、という風にホームページに出ていました。

ちなみに、今のは日本の会社の話ですけど、海外の保険会社というのは、規制がもうちょっと緩いというのもあって、もっと高リスク的な運用をしていたりするところが多いです。

中には、もうほとんど博打とも思えるようなところにお金を投げていたりもしています。

有名な話としては、皆さんもご存知の、いわゆるリーマンショックが起きた時に、世界最大の保険会社「AIG」という会社があるんですけれども、そこがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というデリバティブ商品のトレーディングに大失敗して、何と10兆円以上の損失を出していたことが発覚しまして…。

それが原因で、「世界の金融システムを破綻させるのではないか?」という、その寸前まで追いやった…ということがあったりしました。

まあ、何が言いたいかというと、保険会社というのはリスクを取って利益を上げるわけですけれども、そのリスクを取って利益を上げる先が、保険ビジネスではなくて、本業の運用ビジネスなわけです。

保険は、その原資を得るための手段に過ぎないので、そこで大きくリスクを取ろうとは考えていない、ということなんですよね。

まあ早い話が、「集めたお金よりも保険金としての払い出しの方が大きくなる」なんてことは起きてはいけない、という風に考えているわけです。

「その資金調達におけるリスクを小さくするためにはどうすれば良いか」ということですけれども、これはシンプルに、保険料として集める金額よりも、保険金として払い出す金額の方を小さくする。

そのために、保険会社というのは非常に緻密な計算を行って、商品開発とか保険料設定とか引受の可否の判断をしているわけです。

アクチュアリーと呼ばれる人たち

…今、「緻密な計算」という言葉を使ったんですが、これは主に統計論と確率です。
必ず会社の中に緻密な計算をする専門職の人間がいます。この人達を「アクチュアリー」と呼ぶんですけれども、こいつらは正しく「数学のオバケ」っていう感じです。

その数学のオバケが、例えば「現在30歳の人が10年後に死ぬ確率はこのぐらい」とか、
「この色の免許証の人間が車に乗った時に、どこかにぶつかる確率はこのぐらい」とかね、

そういった計算を行った結果、「保険料は幾らにしようかな」とか、その保険料で賄えないと思うような対象者に対してはそもそも保険を引き受けるのをやめるか、みたいなところまで判断をしたりしているわけです。

「ちなみに」という話をすると、僕はもうちょっと若かった時、それも免許証の色がまだ緑色だった時代に、ドイツ製のちょっと高価な車を買ったことがあったんですけれども、緑免許になってしまったのにもある理由があったりするんですけど…

まあその辺の履歴のマズさとかを見て、保険会社がなかなか僕の保険を引き受けてくれない…みたいなことがあって、凄い困った、みたいなことがあったりしましたけれども。

あれは、要は、「こいつの保険を引き受けても、保険会社としては損をする可能性が高い」と思えば、保険会社は保険の加入そのものを認めない、ということもあるわけです。

そんな感じなので、統計的に見れば、「保険加入者」と「保険会社」というこの2軸それぞれの収支で考えた時に、これはほぼ間違いなく、「保険加入者」が負けるように出来ているわけですね。

わかりやすく、宝くじを例にすると・・

ちょっと話が難しく感じた人は、宝くじ、あれをイメージしてもらった方が分かりやすいかもしれないですけれども。

宝くじというのは、もう胴元がほぼ間違いなく負けないように出来ているものです。

例えば、300円の宝くじを300万枚売ったら、売上が9億円になります。当選総額が例えば4億としたら、引き算して、胴元の手元には5億円が残るわけです。

あと、経費がどのくらい掛かっているかは正確には知らないんですが、くじを刷ったりとか広告を打ったりとかっていうのに仮に1億掛かったとしても、4億残るわけですよね。

くじに当選する確率が一般的に、1等で1千万分の1。2等とか3等とか、末等まで含めても、せいぜい数万分の1という確率でしか、そのくじの購入者はお金を貰えないのに、胴元には確実に、当選総額と同じだけの金額が残る、というわけなんですね。

いわゆる「控除率」という言葉が使われたりしますけれども、日本の宝くじの控除率というのはおよそ半分くらいだという風に言われています。

「宝くじを買う」なんていうのは、本当はめちゃくちゃ馬鹿らしいことなんだな、という風に思えてくるはずなんですけど、それでもどういうわけか宝くじというのは毎年毎年大変な人気があるわけですよね。

これはなぜかという話を、ちょっと話が大分外れているんですが、敢えてすると、「ロッタリー効果」といわれる人間心理が上手く利用されているからなんですね。

「ロッタリー効果」というのは、簡単に言うと、「ほぼほぼ当たりが出る確率は無いけど、外れた時の金額は小さい。一方で、万が一当たった時には莫大な報酬が得られる」というものを人間は好んでしまう、という…このことを指します。

「絶対に当たらない」と言えるような当選確率でもお金を投げてしまうわけです。
そんな人間心理を巧妙に利用したビジネスが宝くじだということです。

で、「人間が死ぬ」とか、「病気になる」とか、別なイベントに置き換えたものが保険の集金スキームだと考えたら分かりやすいと思います。

ただ1点違うのは、このイベントの発生確率の計算が、くじの場合は凄くシンプルであるのに対して、保険金の支払いに係る発生イベントの発生確率の計算というのはもっとずっと複雑になる、ということ。

だから、先ほど説明した「アクチュアリー」が死ぬ気で胴元たる保険会社が損しないような計算を行う、ということなんですね。

多くの保険商品の保険金というのは、宝くじの当選金よりも安くなっている一方で、保険料というのは宝くじのように安価ではないことが多いわけですけれども、それでも「ロッタリー効果」というのは十分に働くので、保険料は沢山集まる、というような結果になるわけです。

思うに、宝くじというのはこの世で最もボロい商売ではないかと思っています。

故に、日本では宝くじは国の独占事業になっていて、民間企業が行うことが出来ないんですけれども、これに類似のスキームを作ってお金を集めている、それを民間の会社が行っているのが、保険だということなんですね。

保険に入るべきか否か

だから統計的に見たら、胴元たる保険会社と、保険加入者の、ある種「勝負」と見た時に、もうこれはほぼほぼ保険加入者の負けになってしまう、という結果になるわけです。

従って、今回のテーマ「保険に入るべきか否か」という話で言えば、基本的には、「保険には入るべきではない」という帰結になります。

但し、ここまでの話はあくまで統計的な話です。
統計には、いわゆり「歪み」というものが生じます。確率は極めて低いけれども、ゼロではないわけですね。

それが発生した時には、莫大な損害が生じる…という場合もあるわけです。
その場合には、コストを掛けてでも、そういうヘッジをしておかなければならない、という状況もあるでしょう。

例えば、現在、人生を逃げ切るのに十分な資産が無い中で、一家の大黒柱が死んでしまえば、残された家族は生活出来なくなりますし、事故を起こして人を殺してしまったら、莫大な損害賠償金額を払うことになってしまうわけです。

もしこれを払う余力が無ければ、これは保険によってヘッジをするしか選択肢が無い、ということになりますからね。

こういった統計の中に隠れた歪みをヘッジする必要が有るか・無いか、ということを考えた上で、例外的に「保険に入る」というのも有りだと思います。

まあ、裏を返せば、「車に小石が飛んで来て傷がついちゃった時の修理代をヘッジするために保険料をちょっと上乗せしようかな」とか、スマホとかパソコンを買った時、壊れた時の修理費をヘッジするために「なんちゃらケア」みたいなものに加入する、なんていうのは愚の骨頂だ、という風に考えているわけです。

まあ要するに、「保険というのは、いざという時に自分で払えるような金額をヘッジするために入るものではない」ということなんです。

本当のお金持ちの人は、基本的に保険には入りません。入るとしてもそれは、例えば節税目的だったりとか、あとはお付き合いだったりとか、要はリスクヘッジ以外に目的がある…ということがほとんどなんですよね。

あるいは、アクチュアリーですよね…彼らが行った計算に何らかの穴とか隙間を見付けた、なんていう人は、保険に入るのも有りじゃないかな、と思います。

そういう人はね、是非保険会社に勝負を挑んでみてはいかがでしょうか?

まとめ

はい、そんなわけで、結論としては「保険は基本的に入るべきものではない」ということです。
ただ、一方で、今の話は統計上の話なので、そこから発生する損害がぎりぎりヘッジ出来ない場合は、コストを掛けてでもヘッジする価値がある、ということになります。

はい、以上になります。

今回の動画は以上になりますけれども、今回の動画が少しでも勉強になった・役に立ったと思っていただけた方は、チャンネル登録と高評価をよろしくお願いします。

それから、今日全然トレードの話はしませんでしたけれども、日々、トレードのポジション共有をTwitterで行っています。興味がある方は是非フォローまでしておいてください。

はい、以上になります。
それでは皆さん、ごきげんよう。