ドルコスト平均法の知られていない罠

ドルコスト平均法の知られていない罠

どうも、メタトレ研究所のHiroです。
今回は、「ドルコスト平均法」について話をしていきます。

元々、このワードについてはあまり解説するつもりが無かったんですけれども、最近意外とよく使うな…いうようなことがありまして。

動画の話をするのであれば、以前、ロボアドバイザーについて話をした動画の中でも「ドルコスト平均法」って言葉を使いましたし、「サラリーマン&OLにおすすめの投資術3選」っていう動画の中でもドルコスト平均法は出て来ていましたね。

あとは、僕、今「FIV」っていうコミュニティを運営しているんですけれども、その中でも意外とドルコスト平均法っていうものが話題に上ったりします。

そのワード、意外と使うんだけど、知らない人もそれなりにいるようなワード。概念を共有していないと、話をする上で今後歩調が合わない…というのがありますので、1回ちゃんと解説をしておこうかな、という意図で今日は動画を撮ろうと思いました。

はい、そんな感じでこれからドルコスト平均法について話をしていこうと思います。

・どういった概念なのか
・どういったメリットがあるのか、どういったデメリットがあるのか

これは賛否両論ある投資法なんですね。

なので、バランス良くそれらをお伝え出来ればと思いますので、この後、一緒にキャプチャーを見て話をしていきたいと思います。

それでは、ついてきてください。

ドルコスト平均法について

はい、それではドルコスト平均法について解説をしていきます。
まあ、こんな意味になりますね。

「金融商品に対し一定間隔・一定金額での購入・積み立てを行う投資法」です。

「一定間隔」っていうのは分かりますよね、例えば月に1回とか年に1回とか、一定の感覚を決めるっていうことです。

年に1回なり、月に1回なり、という感覚において、同じ金融商品を買っていくわけですが、数量の決め方ですね…まあ「ロット」という言い方をすることが為替においては多いかなと思うんですけれども、そのロットの決め方ってことですね。

「毎月何ロット」とか、「毎月何株」っていった形で、ロットを一定にするというのが一般的かなと思うんですけれども、ドルコスト平均法のユニークな点というのは金額が一定になっているということです。

「毎月1万円ずつ」とか「毎月10万円ずつ」、その時の価格によって買えるだけのロットを買っていく…ということになるので、金額は一定・ロットは可変…変わっているという、変動制ですね…数量での購入になっていく、ということですね。

例を1つ挙げるのであれば、2行目に書いてありますけれども、「毎月1万円ずつトヨタ株を購入してゆく」ということになります。

 

こういう風にしていくとどういう感じになっていくか、というのを話しておくと、「合計金額が決まっている」ということは、

・株価が高い時には少しのロットしか買えない
・株価が安い時には沢山のロットが買える…

というようなロットの決まり方になっていくよ、というそんな特徴がある、
というところも押さえておいていただきたいと思います。

何となく概念としては分かったけれども、これが普通に買う時、あるいはここが一定の金額ではなく一定ロットで買う時…というのと、いろんなその買い方・ロットの決め方のパターンってあると思うんですけど、それらとの違いがどういう風に出て来るか、というのがイメージしづらいかと思いますので、ちょっとExcelを使ってパターン分けをして説明をしてみようかなと思います。

購入方法のパターンで分類して比較

はい、こんな感じの…ちょっと即席なので見づらいかなと思うんですけれども、Excelのシートとグラフと、ちょっと用意してみました。

グラフはこれ、全く架空の、何かしらの株の銘柄の株価の推移、という風なイメージをして貰えればいいかなと思います。

毎月1日としましょうか、毎月1日の株価が推移している様子をグラフ化したものです。

だから、このグラフというのは縦軸に株価・横軸に時間の経過を表す、まあいつも見ているチャートと同じようなイメージをして貰えれば良いかな、と思います。

1月、2月、3月、4月、5月…という風に記録された期間があって、それぞれの株価が100円、90円、80円、85円、100円と推移しました…という、そんな架空の値動きを表しています、と。

 

そんな中で、パターン3つ分けました。
今説明したドルコスト平均法…毎月1万円の予算でもって買っていくという、そんなロットの決め方で行った場合の購入数と合計株数ですね。5ヶ月間それで続けた時の取得株数ですね。

それから、5ヶ月間の総投資金額ですね、「元金」という言い方でも良いかもしれません。

その後、含み益がどれだけ現時点…5ヶ月目を迎えた時に出ていますか、というのがここに出ているわけですけれども、これを、固定ロットの時と、一括買いの時と、それぞれ比較するものを出しています。

固定ロットというのは、「毎月毎月100株ずつ買っていく」というようなやり方で買っていった時の合計株数と、総投資金額と、含み益というものを表しています。

一括買いというのは、初月に500株…5万円分、購入した時の状態というものをここに出しているわけですね。

 

こんな感じで3パターンの投資方法をとった時の「どんな違いが出て来るか」というのを比較しながら出していきたいな、という意図で、こんな感じのシートを作ってみました…ということですね。

一括買い

一番分かりやすいのは、この一括買いのところかな、と思います。
まあいわゆる僕らがやっているようなトレーダーのトレードというのは何かこんな感じなんじゃないかな…と。それに一番近いのがこの一括買いという買い方なんじゃないかなと思います。

まあ、中には、かなりこのポジションを分割して、増し玉とか、ナンピンとか、いろんなそういうベッティングシステムのようなことを日頃からやっている人もいるかもしれないんですけれども。

まあ基本的なこのサヤを取っていく、値動きの幅を取っていくようなタイプのトレーダーというのは、一番オーソドックスな形というのは、この一括買いなのかな、と思います。

 

最初にグラフを見た時にピンと来た人もいるかもしれないんですけれども、最初の月と最後の月と、共に価格が100円ということになっています。

その間、株価がこう下がり続けるような場面もありながら、元に戻ってきた…というような、こんなシナリオで今回シミュレーションしているわけですけれども。

このような場合、初月で100円で500株買った一括買いのパターンの場合は、当然含み益は「0」ってことになります。含み損が解消されて「0」になって、チャンチャン…というような結果になっているわけですね。

合計株数、初月で500株買っているので「500株」ということになっていて、100円の時に500株買っているので、総投資金額は「50,000円」になっています、と。

今、この5ヶ月目に、仮に…これちょっと手数料を無視して考えますけれども、売ったとすると、この売った時の総金額も5万円になります。それは、今500株持っていて、今の株価が100円だからですね。

5万円で買って、5万円で売れるっていうことで、含み益としては「0」になっていますよ…という状態になっている、ってことですね。

これが一括買いの場合です。

 

凄くシンプルですよね、これ分からない人ってそんなにいないかな、と思うんですけれども。

これを比較軸にして、ポジションを分割するというか、毎月毎月に購入していく…段々と買い増していく、というようなやり方を取った時と比較していきたいなと思うわけですけれども。

固定ロット

次に固定ロットですね。
この場合はどうなるかというと、毎月100株ずつ買っていくわけですけれども、100円の時に100株、だからこの時に1万円分買っているわけですね。

次の月は値下がりして、90円の時に100株買っているので、この時の投資金額としては9,000円になる。

合計投資金額としては1万9,000円になりますよ…というような感じで毎月毎月買っていくと、合計株数は、当然この100株を5ヶ月にわたって買っていくので500株になっていますよ、と。

総投資金額の方はね、安い時に買っているものも含まれるので、当然この一括買いの時よりも総投資金額としては安くなってきます。4万5,500円ということで、大体平均取得単価としては90円前後になるのかな…というようなイメージになってきます。

この総投資金額4万5,500円の株、500株を、5ヶ月目の今日、100円で売ったとすると、まあ当然5万円で売れるわけなので、今、含み益としては4,500円になっていますよ…ということになっています。

まあ、下がっている局面で買い増しをしていくと、今言った通り、平均取得単価が下がっていきます。ですから、価格が元に戻った時には含み益が出ている…というような、そんな感じになるわけですね。

ドルコスト平均法

次に、ドルコスト平均法をとった時のケースを見ていきたいなと思うわけですけれども。

固定ロットの時は、毎月毎月同じロットで買っていますよね。

それが、ドルコスト平均法においては毎月毎月同じ金額…つまりこれは1万円という予算でもって毎月買っていく、ということをしますので、当然、株価が安い時には買い付けられるロットが増えていく。

今回、ちょっと高いケースを見なかったんですけど、高くなってくると、今「100円でスタートして100円で終わる」っていうパターンですけれども、仮に110円になった時には100株も買えない、ということになりますので、小さい数量での購入になっていく…というようなイメージになります。

「株価」と「買い付けられる株数」というのが反比例するような感じになっていきます。

そうすることによって、価格が下がった時にも買えているので、平均取得単価が下がりますよ、という話をしたんですけれども、よりその傾向が強くなる…ということになるわけですね。

 

見て行こうかなと思うんですけれども、最初に100円で始まって、この時、予算1万円の時は100株ですよね。10,000÷100=100ということで、100株だけ買えますよ、と。

次の月、90円になりました。この時に、同じく1万円の予算で買い付けをしていくので、10,000÷90=111、本当は端数があるんですけれども、端数は省いて…端数はちょっと切り捨てるっていう方式で今回やっていますけれども、111株買えますよ、というような感じになります。

そんな感じで、1万円の予算と株価っていうものを割り算してロットを割り出して買っていく…ということになるわけですね。

株価が一番安いこの80円の時において、一番多くのロットを買い付けることが出来る…というような、そんな流れになってきます。

結果として、合計株数…今回の場合はこう下がっていったところがありますので、そういったところで沢山の株を買い付けるってことが出来る関係上、この3つのケースのうち多くの株数を買い付けることが出来る、ということは分かりますよね。

今回、「下がって、戻った」というケースを見ているんですけれども、仮に「上がって、戻る」…このグラフの形が逆相関になるような、こんな形になった時には、ドルコスト平均法の買い付けによる合計株数が、最も、この3つの中では少なくなる…というような、そんなことになるわけですね。

 

総投資金額としては、ちょっと端数があった関係で買えなかった株なんかもあるので、概ね5万円なんですけれども、端数分切り捨てた関係で、4万9,935円というような感じになっています、と。

含み益なんですけれども、この場合は「下がって、戻っている」…下がったところで沢山のロットを買えているということで、含み益はドルコスト平均法が一番多く出ている、ということになっています。

こんな感じで、通常のトレードであれば、ここで買ったものが下がって戻った時には含み益が0になる場面なんですけれども、ドルコスト平均法によって「時期を分散する」ということですね、そのことによって、今回のケース、「下がって、戻った」時には、含み益が出ているというようなことも起こり得るんだよ、ということを押さえておいていただければと思います。

ドルコスト平均法は主に時間の分散のために行うもの

まあドルコスト平均法の趣旨、「なぜこれを、何のためにやるのか」ということをまだお話ししていなかったので話しておくと、ドルコスト平均法は主に時間の分散のために行うものです。

「分散投資」ってよく言われる言葉ではありますけれども、あれ、僕は2つ軸があると思っていて。

1つは、皆さんがイメージされる分散投資と同じ定義で、「資産クラスなり投資対象を分散する」ということですね。例えば株、債券、先物、コモディティ…そんな形で投資対象を分散する、というような考え方の分散投資、これが1つ目。

もう1つが、今回やっているように、「投資する時期をずらしていく」ということですね。「時間の分散」ということです。

投資において、何を考えて利益を狙っていくかということを考えていくと、「何を買うか」ってことを考えますよね。その「何を買うか」っていうことが難しいが故に、「それを分散しよう」と考えるのが「投資対象の分散」。

投資においては、正しいものを買えばいつも利益が出るかというと、そうではない。…これはもうトレーダーである皆さんは百も承知のことかなと思うんですけれども、「何を買うか」ということ以上に、「いつ買うか」ということが凄く重要になりますよね。

これを間違えると、どんなに値上がりするようなものを買ったとしても、テッペンで掴んでしまえば利益が出ないわけですから、「いつ買うか」あるいは「いつ売るか」ということもありますけれども、その「いつその投資判断を行い、行動するか」ということが非常に重要であるということが、同時に難しいということが、分かってくるわけですね。

そういった観点から、「投資する時期」、これを分散しよう、という考えがドルコスト平均法の根底にはあるわけです。

今のところ、あえてそういう風に寄せているんですが、ドルコスト平均法のメリットしか見えないような、ずっとそういう話をしていたわけですけれども、当然これ、投資方法ですので、メリットがあればその裏にデメリットもあります。

どういったケースにおいて、ドルコスト平均法はデメリットを生んでくるか、というのを一応話しておくと、まず今回のように、このドルコスト平均法によって買い付けを行っている時期が「下がって、戻る」みたいな、こういう動きですね…こういうケースにおいてはドルコスト平均法が一番良いパフォーマンスを上げることが出来るんですけれども、仮にこの銘柄が「初月からずっとずっと上がり続けていった」というような場合においては、これ、当然一括買いのこのケースが一番利益を生むことが出来ます。

ここからここまでの値上がり…例えば120円まで上がったとすると、20円分の値上がりの恩恵を受けることが出来るので、まあこれが一番利益が得られるわけですね。平均取得単価が100円になるからです。

こういったケースにおいて、例えば固定ロットとか、ドルコスト平均法によって買い付けをしていくと、当然これ、100円から120円までの間においても買い付けを行っていくということになりますので、平均取得単価はどうやっても100円よりも高くなってしまう、ということがあるわけですね。

ですから、ドルコスト平均法というのは投資対象がずっと値上がりを続けていくような相場においては、一括買いのパフォーマンスを超えることが出来ない、ということも押さえておいていただきたいと思います。

…ということで、ドルコスト平均法というのは、投資対象のものが「値下がりするかもね」と、「買った後に値下がりするかもしれない」というような場面において使われるべき投資法なんだよ…ということになります。

まあ「確実に上がる」と思って投資出来ることってほぼほぼ無いと思うので、そういったリスクを取りたくないという人は、ドルコスト平均法も上手く組み合わせてみると良いかな、と思います。

 

あとは、上手く機能しない場面として、今、株を例にとっていますけれども、配当利回りが凄く大きいような銘柄の時も、あまりドルコスト平均法は有効ではないかもしれません。

 

配当とかスワップというのは、持っているロット数と持っている期間に比例して受け取れるものですよね。
この中で一番配当の恩恵を受けやすいのは、やっぱり一括買いということになるわけですね。

ここで全部買ってます…全部というか5万円分全部買っているわけなので、もし仮に…ちょっとあまりそういう銘柄は無いんですけれども、毎月配当が出るような株だった場合、あるいはスワップとかだったら毎月出るので、スワップと考えた方がちょっとイメージはしやすいかもしれないんですが、

まあそういったものに投資していた場合に、この一括買いのものは、初月から全部買っていますから、
この5ヶ月分全てフルに配当なりスワップなりを受け取ることが出来るわけですけれども。

ドルコスト平均法とか固定ロットに関してはちょっとずつ買っていますから…そこで最初の100ロット、100株の分に関しては、5ヶ月分全部受け取れますけれども、

次の月に買ったものに関しては、それ以降しか配当が貰えないし、その次のものも同じく、それ以降の配当しか貰えないし…っていうことになると、

やっぱりこの合計の受け取れる配当なりスワップなりの金額っていうものは、一括買いのものよりも少なくなってしまう…ということがありますね。

こういった投資方法を考えるにあたっては、スワップとか配当とか、そういったものもトータルに考えて、リターンの種類って幾つもある…複数あるリターンを、総合的に捉えて、「どこを重視するか」っていうことを考えて、この投資スタンスというか、数量の決め方を考慮していただきたいな、と思います。

 

あとは、細かいところで言うと、買い付ける対象の手数料体系ですね…それはまあ「どこの証券会社で買うか」っていうことも含めてですけれども、手数料体系によっては、この…回数が増えますよね。

これ1回しか買い付けていないけれども、これは5回にわたって買い付けをしている…ということで、手数料が取引回数に応じて増えていくような手数料体系だった場合には手数料もちょっとかさんでいくかな…というようなデメリットもあったりします。

「ドルコスト平均法」という風にググると、それを凄く激しく推奨するような人もいれば、激しく反対するような人もいるわけですけれども、これはどんな投資法をとったところで、メリット・デメリットはあるわけですね。

その中で、メリットをどれだけ重く考え、デメリットをどれだけ重く考え…というバランス考慮の中で、どの投資方法をとるのか、どういった観点を重要視してどういったところから利益をとっていきたいのか、ということによって、あとは今後の相場がどういう風に動いていくか…

というような見通しなんかも当然考えながら選択をしていけば良い場面、良いことだと思うので、バランス良くそういったことを考えながら今後の投資を考えてみて貰いたいなと思います。

はい、以上になります。

まとめ

はい、如何だったでしょうか? ドルコスト平均法について話をしてきました。検索すると、出て来るんですけど、偏ったものが多いですよね。

「偏る」というのは、賛成か反対かという意味で偏っているものが多くて、賛成している人っていうのは割とこの金融商品を買わせたい人達です。

反対したい人達というのは、何かちょっと遅れて来た中二病みたいな感じで、何でも反対すれば賢く見えるのかな? みたいな感じで反対している…。

まあ、いずれにしても、この立場が偏っている人達が多いんですけど、それ故に、「どっちでも良い」と思っているような僕みたいな人間の解説は価値があるのかな、みたいなことを自分で思ったりしています。

そんな感じで、メリットもデメリットも両方あるドルコスト平均法をしっかりと理解した上で、場面に応じて投資判断・プランニングで、やっていくかということを決めていただければ良いかな、と思います。

 

はい、こんな感じで今回の動画は以上になりますけれども、今回の動画が少しでも勉強になった・役に立ったと思っていただけた方は、チャンネル登録と高評価、是非よろしくお願いします。

それから、日々Twitterでポジションの共有をしています。「ここで買いました」「ここで売りました」というエントリーと、それから「ここで売り抜けました」「ここでショートを買い戻しました」っていう決済の報告と、これらをTwitterで行っていますので、是非興味がある方はフォローしておいてください。

はい、以上になります。

それでは皆さん、ごきげんよう。