ATRって何?人気だけど謎が多いインジケーターを徹底解説

どうも、メタトレ研究所のHiroです。
今回は、ATRについて話をします。
ATR…今まで、ちょっと触れて来なかったんですね。敢えて避けていたわけじゃなくて…触れるのを忘れていました。
いろんな動画の中で、ちょくちょくATRとかTRっていうものが出て来ています。
「決済ロジックとしてATRを使ってみました」
とか、あとは、ADXだったかな? …の動画の中で、このインジケーターの値の算出の中で、
「中間の作業としてTRというものを求めるんですよ」
とか、そういう説明をしたりしていました。
そのATRとかTR自体の説明をする動画を「今度撮りますね!」…って、その時は軽い気持ちで言っていたんですけど、撮っていなかったですね。
今回、それを解説していこうと思います。
今回のATRの動画で、TRとかATRっていう概念をしっかりと覚えた上で、再度、ATRを扱った動画を見て貰うと、また理解がしやすくなると思いますので、そんな感じで使って貰えると幸いです。
ということで、早速スライドを作りましたので、一緒に見ていきましょう。
じゃあ、ついて来てください。
ATRとは?
はい、それではATRについて解説をしていきます。
「ATR」…まず概略からですけれども、ATRというのは略語です。正式には「Average True Range」というインジケーターの名前になります。これの頭文字を取って、「ATR」と略されるのが一般的な呼び名です。
で、まあそれぞれ、「Average」とか「True」とかって意味を説明しておくと、「Average」は「平均の」という意味ですね。「True」は「本当の」とか「真の」という意味です。「Range」は「値幅」ですね。
「平均の真の値幅」…ですかね、直訳するのであればそういう風になります。
このインジケーターはワイルダーという人が作ったインジケーターで、過去に僕の動画では、例えばRSIとか、それからADXというのを説明してきましたけれども、その開発者もこの同じワイルダーさんだったということですね。
確か、ADXの解説動画の中で「True Range」というのがやっぱり計算の過程で出て来るんですけれども、その説明の中で、「ATRも今度動画を撮りましょうね」みたいな話をしていて、それを実際に今撮っているんですけど…ちょっと時間が開いちゃったんですけど、まあ今それを撮っている、という流れです。
まあ、今、正式名称からも大体想像がついたと思うんですが、ATRというのはローソク足1本あたりの平均の値動きの大きさを意味します。
「意味する」というか、計算して算出したものですね。
一般的に「ボラティリティ」っていう風に言われること、ありますね。ボラティリティって本当はね、ATRのことじゃないんですけど、まあ一般的に言われる慣用句としてのボラティリティというものを、ある種、数値化するための一つの手段、と考えて貰えれば良いかな、と思います。
まあ、この値幅の大きさを測ることによって、ATRというものをどういう風に活用していくか…という話なんですが。
過去にね、「ATRを使った決済を導入してみた」みたいな動画を撮ったこともあるんですが、正しくあれが、このスライドの中の2番目にある「決済値幅や資金管理の計算に用いることが多い」という、これですね。決済値幅をATRによって決める、ということがあります。
で、それによって、例えば、不要損失をその決済値幅で割ることによって、「何ロットでトレードをするか」っていうロットが算出されたりするので、そういう意味で、資金管理にも活用することが出来ますよ、ということが書いてあります。
それから、まあこれは…まあ、今のは「決済について」ということなんですけど、もっとアグレッシブに使う人は、エントリーの根拠にすることもありますよ、というのが3つ目です。
「トレンドの転換タイミングを測るのに用いられることもある」…まあ必ずしもエントリーだけでは無いか。決済を、この「トレンドの転換タイミングだから」っていう根拠でするかもしれないし、そこをエントリーの根拠とするのかもしれない、そんな使い方をする人もいますよ…ということですね。
ATRを深堀りしてみます
じゃあ、ATR…もうちょっと深堀りして、どういう風に算出されるものか、っていうのを説明しておこうと思います。
はい、じゃあATRの計算方法っていうのをこれから話をしていこうと思います。
まず、冒頭に言った通り、ATRっていうのは「Average True Range」なので、まず「True Range」というものを算出してからそれを平均化する、という作業になります。
ATRが分からない人の9割以上が、この「True Range」の算出が分からないというところで躓いているので、ここをなるべく分かりやすく説明したいなと思います。
「True Range」が分かれば、ATR…「Average True Range」は芋蔓式に分かる、というようなイメージになりますので、ちょっとここを一生懸命理解して貰えれば良いなと思います。
はい、「True Range」の算出ですね。
パターン3個出してみました。過去にATRを勉強しようと思ったことのある人は、結構こういうチャートの図を見て、一生懸命「この場合はどっちだっけ?」「この場合はどっちだっけ?」っていうことを考えたことがあるかなと思うんですけど。
とりあえずパターン分けして「この場合はどっちだっけ?」って考えるのは良いんですけど、押さえておくポイントが3つ有ります。
まず1つが、「一番大きいものを採りましょうね」ということです。「一番大きいものを採用しましょうね」ということ。
「~のうち値が最大のもの」ってここに書いてあるんですけど、この1・2・3番、パターン分けしていますけど、最終的に用いるのは1つだけで、その1つをどのように選ぶかというと、一番大きいものだけを選ぶんだよ、ということ、まず押さえておいてください。
2つ目が、「ヒゲが伸びたらヒゲも含めますよ」ということですね。「ヒゲが伸びたらヒゲも含める」ということが2つ目です。
3つ目が、「窓が開いたら窓も含めるよ」ということです。
…良いですか? 最大のものを採る、それから、ヒゲが伸びたらヒゲも含める。それから、窓も空いたら窓も含める。良いですかね? この3点を押さえておけば、まず間違い無いです。
True Rangeの3つのポイントを詳しく見ていくと・・
ではそれぞれ、1つずつ見ていこうかなと思うんですけど…まず1つ目なんですけど、こんな図になっていますよ、と。
このローソク足の「True Range」を測りたい、ということなんですけど、この場合、窓が無いっていうのがまずありますけれども、とりあえず「True Range」を算出する時はまず当日の高値・安値の幅を見ましょうね、ということを押さえておいてください。
窓が有る・無しっていうのはその後に確認すれば良いかなと思うんですけど…。
まあ、この幅がまず「True Range」の候補の1つになりますよ、ということですね。「True Range」の候補の1つになる、と。良いですか?
これと、他の方法で算出した別の「True Range」候補との比較をして、大きい方を採用する、というような流れになるんですけど。
これが1つ目のパターンです。
さっき、3つポイントを解説しましたね。2つ目に、「ヒゲが伸びたらヒゲも含めるよ」という話をしました。
なので、これ、下ヒゲ・上ヒゲ、ちょっとずつね、ありますけれども、この場合は上ヒゲから下ヒゲまでの長さを「True Range」の候補と考えますよ、というわけです。
次に、「窓が開いた場合は窓も含めるよ」というポイントをお話ししたと思うんですが、これが窓が開いたパターンですね。
これは、こっちが前日のローソク足、これが当日のローソク足なんですけど、窓が開いた時は窓も含めるので、窓…「窓」というのは前日の終値から当日の始値までの幅ですよね。ここも含めるしヒゲも含めるし、っていう。
この窓の大きさ全部と、ローソク足の長さ、上ヒゲまで…っていうのがこの場合は「True Range」の候補に入ってきます。
同じく、さっきと同じ方法で採ったこの「True Range」の候補っていうのも測っていくんですけど、これと、今、窓も含めた幅と…っていうのを比べた時に、どっちが大きいですか? ということを比較します。
すると、窓を含めた方が大きいんですね、今回の場合は。
なので、今回はこの赤…赤というか茶色というか、この線の幅がTRとして採用される、ということになります。
仮にこのローソク足の下ヒゲが物凄く長く伸びて、例えばこの辺り(下部)まで伸びたとすると、この青いこの幅っていうのがここまで伸びてきます。
そうなった時には、この幅と、今のこの茶色の線の幅と、っていうのを比較するので、そういった下ヒゲが物凄く長くなって、この窓の始点よりも下まで伸びた場合には、こっちと同じく、この青い幅っていうのがTRとして採用される、という風になります。
次、下離れ…まあ「下離れ」って、下に窓が開いたってことなんですけど、これは上離れが分かれば分かるかな、という感じですね。
さっきと違って前日からこう下に離れる感じで窓が現れていて、次の足のローソク足が表示されている…という流れになっていますね。
この時は窓が開いたら窓も含めるので、窓も含めた幅から安値までの幅が黄色い線として、これが「True Range」の候補になってきます。
これと、通常の、1と同じパターンの「True Range」っていうものの候補、これと比較して、長い方が「True Range」として採用される…という流れです。良いですかね?
「ヒゲが出たらヒゲも含める、窓が出たら窓も含める」…そういう風にやっていった時に、「どういう風に幅を採ったら値が最大になるか」ということを考えて、その最大になった時の幅の測り方っていうのが、「True Range」の算出方法になりますよ、ということなんですね。
この下離れに関しても、この、今ね、ヒゲがそんなに長くないので、今回はこの黄色い線の幅が「True Range」として採用されますけれども、このローソク足の上ヒゲが、例えばこの辺りまで伸びたとすると、「True Range」はこの青い幅…この分の青い幅っていうのが「True Range」として採用される、ということになるわけです。
こんな感じで「True Range」、計算していきますね。そんな感じですね。
Average True Range
「True Range」が分かれば、「Average True Range」は凄く簡単で、あとは平均を取るだけです。
平均の取り方っていうのは、あるパラメーター期間、全部足して、パラメーター期間で割る、という…移動平均線の割り出し方とかを覚えている人はそれで十分理解出来るかな、と思うんですけど。
各ローソク足における「True Range」をさっきの要領で割り出します。
それらを足し合わせますね。「それを任意の数で割る」と書いてあります。
通常、ATRというのは、パラメーターとして「14」を採用することが多いです。ですから、今回も14の例で計算してみますけれども、TRを…各ローソク足におけるTRを全部足し合わせて、最後、14で割る。…移動平均線の出し方も一緒ですね。すると、ATRが表示される、という流れですね。
こういう風に、下のオシレーターウィンドウの方に表示されて、こういうグラフになっていくんですけれども、ここに小さく数字が出ていますね…「0.1692」という風に出ています。
この場合は、これ、ドル円のチャートなんですけれども、ドル円における0.1692円が「Average True Range」ということになるので、平均のローソク足の値幅、14日間の…ここからここまでぐらいかな、14本だと…あ、違うな、ここからこの辺までか。…の、14本の間の平均の値幅というのが、およそ16.9pipsになりますよ、ということを表しているわけです。
さっき、使い方について最初に述べたんですけれども…こちらですね。
「決済値幅や資金管理の計算に用いることが多い」という風にさっき説明したのですが、これは、先ほどの要領で割り出したATRに一定の係数を掛けた幅っていうのを決済の値幅として採用する、ということですね。
大体、僕の場合は、まあ手法にもよるんですけど、ATRの3~5倍ぐらいの幅っていうのを損切りに採用することが多く、それから5倍~10倍っていう幅を利益確定に採用することが多いです。
…っていうのを、まあ参考にしつつ、ちょっといろいろ研究してみてもらいたいなと思うんですけど、理想を言うのであれば、裁量トレードなんかで決済の値幅とか決済のポイントっていうのはフォーメーション分析で割り出す、という方が理想的です。
こういうね、高値・安値、こう切り下げていますけれども…例えば直近の、こういった分かりやすいサポートラインのところに指値を入れておくとか、というのが本当は理想的です。
精度も高いです…が、このようなフォーメーション分析っていうのは自動売買に盛り込むのは凄く難しい、というのが1点あります。
「自動売買に盛り込むのは凄く難しい」っていうのは、つまりどういうことかというと、「ロジックとして曖昧だ」ということなんですね。
曖昧なロジックっていうのは、何もアルゴリズムだけを間違えるんじゃなくて、人間も間違いやすいシステムになっている、ということが多いです。
ですから、そういった一貫したトレードを助けるという意味で、機械でも分かるようなレベルの明確な・シンプルなトレードロジックを構築するためには、フォーメーション分析の精度っていうのを上げる…「いつも同じようなフォーメーション分析が出来るように、自分の目を養う」っていうのも1つ方法なんですけど、それをある種、諦めるような形で、数値化する・明確化する、という方法を採るってのも1つの手かな、と思っています。
その数値化の1つの方法として、ATRというものがありますよ、というのをお伝えしたかった…というのが今回の動画の趣旨です。
インジケーター、好き・嫌いっていろいろあると思うんですけど、インジケーター、それはね、良い面と悪い面があります。
インジケーターの悪い面は、「精度の高い分析が出来なくなる」ということです。
どうしても…今もね、ATRで「Average」という単語が付いていますけれども、「平均化」っていうものをしていますね。
平均化という作業を行うと、実際の値動きから数値の反映までっていうのは遅くなります。「感応度が下がる」という特徴はあります。
それによって、この平均化を採用しているインジケーターを使うことによって、実際の値動きから実際のトレードの執行までのラグが出てしまう、という難点は1つあるわけですね。
一方で、長所はどこにあるかというと、平均化という作業によって遅延は出るにしても、明確化は出来るわけですね。
数値化されることによって、絶対的なものになるわけです、基準が。
ですから、そのルールから外れたトレードをするっていう可能性は下がるわけですね。一貫したトレードの執行は助けられる、ということです。
トレードというのは、良いルールがあれば、必ずしも資金が増えるか、といえばそうではなくて、「良いルールをその通りに執行する」ということが重要になってくるわけです。
ですから、その正確な執行というものを助ける上で、1つ、こういったATRのようなインジケーターを採用するというのは、知っておくと便利だと思います。
ということで、今回のキャプチャーは以上になります。いろいろ研究してみてください。
まとめ
はい、如何だったでしょうか? ATRの説明。
結構ね、ATRで躓く人は、TRのところで躓きます。
TRは、場合分けしてTRについて解説してきましたけれども、大事なポイントは3つでしたね。
まず1つが「一番大きいところを採っていく」。
2つ目が「ヒゲがある時は、ヒゲを含めてカウントする」ということ。
3つ目が、「窓が開いたら、窓も含める」ということですね。
この3点をしっかりと押さえておいてください。ヒゲがあったらヒゲも含めるし、窓があったら窓も含めるし、そういった数え方をして、とにかく1日の値幅の一番大きいところをカウントしていく…というのがTRの算出です。
それが分かれば、あとはパラメーターの値で割算をして、平均を割り出すだけで、ATRっていうのが分かるんですね。
こんな感じで構成されているインジケーターですので、しっかりと概念を押さえた上で、今後のトレードにお役立ていただければと思います。
というわけで、今回の動画は以上になります。
今回の動画が少しでも勉強になった・役に立ったと思っていただけた方は、チャンネル登録・高評価を是非よろしくお願いします。
それから…ちょっとどうだろう、今日の動画、理解するのが難しい内容だったかもしれないので、もし分からないことなどがあれば、コメント欄とかTwitterのリプライ欄にお寄せいただけると嬉しいです。
ということで、今回は以上です。
それでは皆さん、ごきげんよう。