平均への回帰

平均への回帰

前回の話

 

ある日

野球の中継を観ていた時の話。

 

チャンスで打席に立つバッターの年間打率は.268

ここ5試合の打率は.500

 

解説者曰く

 

「調子よいですからねー

期待できますよ!」とのこと

 

果たしてホントなの?

 

という話を前回は

「ホットハンドの誤謬」

という経済理論の視点から行いました。

 

平均への回帰

 

今回は

この同じシチュエーションについて

「平均への回帰」という視点から

考えてみたいと思います。

 

「平均への回帰」

というのは統計学の用語です。

 

短期的には極端に偏った確率も

長期にわたって回数をこなすごとに

平均に近づいていくということを指します。

(≒大数の法則と考えても良いかな)

 
 

この視点から

先のバッターの打率を考えると

 

直近5試合(短期的)の

.500という打率は

 

年間打率(平均的)

.268から大きく乖離しています。

 
 

.500が.268に近づく(回帰する)には当然

 

しばらく.268を下回る打率を

マークしなければいけないわけで

 

先の解説者の

(何度もごめんなさい)

 

「期待できますよ!」

 

は統計学的観点から見ても

誤った発言ということになります。

 
 

トレードにおける「平均への回帰」

 

トレード成績に関しても

「平均への回帰」は見られます。

 

すなわち

短期的なトレード成績というのは

 

しばしば

そのトレードが

本来持っている勝率から

乖離することがあり

 

この乖離は

長期にわたって

トレードを行っているうちに

 

本来的な確率へと

回帰してゆくはずです。

 

優秀なトレーダーは往々にして

自身のトレードの長期的な確率を

把握しているものです。

 

そして自身のトレード成績が

短期的にそれを大きく上回った勝率を

マークし始めると

 

「そろそろ負けがくるなー」

 

などと考えたりするものです。

 

間違ってもこの時

 

「好調だからガンガン行こう!」

 

などと極端なロット増加をしたりは

しません。

 

トレードは

ランダムな事象列を扱う仕事です。

 

このような

確率過程に対する感覚を

正しく身につけ

 

資金を守る糧としてください。

 

それではまた。