FXで目標設定をしてはいけない理由を話します

FXで目標設定をしてはいけない理由を話します

どうも、メタトレ研究所のHiroです。

…あ、違う。

こんにちは、ヒロです。

今日は、「目標仮説」について話をしようと思います。

 

先日、YouTubeライブの中でチャットで質問をいただきました。

「ヒロさんは目標についてどうお考えですか?」

という質問をいただきました。

その場で、

「あまり目標に固執し過ぎると良くないよ」

という話をさせてもらったんですけど、それについてもうちょっと詳しく話をしようかな、という回です。

 

「目標を立てること」というのは、一般社会においては凄く良いことだとされています。

「目標を立てて、それを達成すること」が、成長だ…と言われているからですね。

でも、このトレードをはじめとした経済行動の中では、「目標を掲げる」ということは、かえって、良いパフォーマンスを出すことに対して妨げになってしまうということがあります。

それを行動経済学の観点から今日は説明する動画を撮ってみようと思います。

この後は、スライドを作ってみたので、それを一緒に見ながら話を聞いてもらえればと思います。

それでは、ついて来てください。

目標仮説について

それでは、「目標仮説」について解説をしていこうと思います。

行動経済学の1つの用語ですね。

行動経済学、以前に「プロスペクト理論」とかを説明したことがあるんですけど、どうしても抽象的な話になりがちです。

ですから、今回は具体例を用いながら、皆さんにイメージをしやすいように、ということで具体例を使いながら説明をしていきますので、頭の中にそういった状況を思い浮かべながら話を聞いてもらえれば良いかな、と思います。

はい、この目標仮説というものについて、カリフォルニア工科大学のColin Camerer(コリン・カメレール)教授という人が調査をしました。

どういう調査をしたかというと、タクシーの運転手の行動というのを調査したわけですね。

タクシーの運転手、僕はやってことがないんですけど、やったことがある人ってもしかしたらチャンネル登録者の方にいるかもしれないんですけど、タクシーの乗車率っていうのは天気によってバラつきがあるそうです。

確かにユーザー側の視点に立ってみても分かりやすいかな、と思うんですけど、やっぱり晴れてて「別に歩けば良いじゃん」っていうような天気の時には、わざわざ近い距離でタクシーに乗らないですよね。

一方で、雨がザーザー降っているような時っていうのは、傘代わりにタクシーを使うような意味で、結構近距離でもタクシーに乗ったりしますよね。

これ、運転手から見ると、

・天気が悪い日=お客さんを得やすい

・天気が悪い日=お客さんを得づらい

という、この一番上に書いてある通り、天気によってタクシーの乗車率にはバラつきが出るわけです。

商売のしやすい日・商売のしにくい日というのがあるわけですね。

 

こういったことを考えると、タクシーの運転手として優秀な人はどういった働き方か…どういった働き方が合理的なのか、ということを考えると、2番目に書きましたけれども、

「乗車率の高い日に長く働き、低い日には早く切り上げるのが合理的」

なわけですよね。

雨の日に長く働いて、晴れの日は早く切り上げる、ということです。その方が効率良くお金を稼げる、という考察になるわけです。

でも、実際にこのタクシーの運転手の人達の行動を見ていると、平均的なタクシー運転手というのは逆の行動をとっていることが多い、ということが分かったんです。

なぜなんでしょうか、ということですね。

「タクシー運転手の不可解な行動」という風にタイトルは書いていますけれども、「これは不可解だな、なぜだろう」ということを考えたわけです。

で、立てた仮説というのが、最初のタイトルにあった通り、「目標仮説」というものなんです。

 

次のスライドに行きます。カメレール教授の考察「目標仮説」ですね。

なぜ利益を得づらい日にタクシードライバーが長く働いていたかというと、1つ目書きました、「タクシードライバーは1日の目標を設定し、その達成まで営業を続けていた」からなんです、ということですね。

雨の日はその目標がさっさと達成されてしまう。一方で、晴れた日はタクシーに乗るお客さんが少ないので利益を得づらい、売り上げを立てづらい…ということで、目標の達成までにより長くの時間を要する。

従って、「長い時間営業する」という結果になっていたわけですね。

このことから、「目標はモチベーションの維持には資するが、時に合理的な行動の妨げになる」ということが分かる、ということを言っているわけですね。

これはタクシードライバーの行動観察・調査によって得られた考察なんですけど、もう1個ぐらい例を挙げてみようかなと思うんですけど…。

 

それが、競馬場のお客さんの調査なんですね。競馬場に来て、馬券を買っている人の分析、ということです。

競馬場のお客さんというのは、どういう風な行動をとっているのか、というのを調査してみました。

すると、競馬場のお客さんは最終レースが近づくほど大きなリスクをとる、という傾向にあることが分かったそうです。

更に調査をすると、こういった最終レースが近づくほど、大きなリスクをとる、大きな金額を賭けるということですね…こういった行動をするお客さんのほとんどが、それまでのレースで損失を抱えたお客さんであることが分かった、ということなんですね。

 

このことから何が言えるでしょうか? ということです。

「なぜこのような行動を取っているのか」という理由を考えることによって、このことから「人間にはどういう性質があるのか」というのが分かるわけですが…。

これ、競馬場のお客さんは、損失が出た時に、「損失をゼロにする」というところに目標を置いていたわけですね。

これ、プロスペクト理論にもちょっと通じるところがあるんですけど、自分の損益分岐点というものを1つリファレンスポイント(基準点)みたいな感じにしている、ということですね。

プロスペクト理論におけるリファレンスポイントというものが、今回は「目標仮説」における「目標」に置き換わっている…みたいなイメージになるんですけど、お客さんは自分が損失を出したものですから、それまでのレースで出た損失が0になっているところを目標としていたわけですね。

その0になるように…負ければ負けるほど、その0までの距離って遠くなっていくので、段々とその最終レースに近づくほど大きなリスクを取るようになっていたわけですね。

 

これって…、まあ今競馬を例にして話をしていますけど、「トレードの中にも出て来る現象じゃないですか?」ということなんです。

トレードで負けると、最初は勝つことが目標でトレードをしていたわけですよね、「資金を増やす」ということが目標でトレードをしていたにも関わらず、損失が出て来ると、いつしか目標のポイントが「利益」ではなく「損益0」のポイントが目標になってきてしまうわけですね。

僕も結構それ、思い当たる節があるので、多分この動画を見ている方、多くの方がこれに共感してもらえると思うんですけど、そういうことってありますよね。

それが、競馬場のお客さんの行動からも分かるし、それはトレードにおいても同じように表れることなんだよ、ということなんです。

トレードにもう1回当て嵌めをしてみようと思うんですけど、例えばそういった競馬場のお客さんと同じような行動パターンがトレード中に現れた時には、具体的にどういうことが起きるかというと、例えば午前中の取引で損失を出した場合、こういった時には、午後の取引でその損失を取り返そうと高リスク的になる傾向にある、ということがありますね。

「高リスク的」…つまり、リスクを沢山取りたくなる、ということです。

一方で、午前中に利益の確定が出来ているような日には、午後の取引ではリスク回避的になる傾向がありますよ、ということですね。

利益確定が出来ていると、「もう今日は無理をしなくていいかな」みたいな感じで、「今日は勝ち逃げです」みたいな感じでね、「今日のトレードはもうしない」っていうようなことになりがちなんですけど、じゃあそういったこの上2段、2つのポイントから、最終的にこれ、どういうトレードになってしまっているか、ということを考えたいんですが…、それは3つ目に書いてあります。

「結果、不利な地合いでの取引回数がかさむ傾向にある」

ということが言えます。

勝った日は、その勝ったトレードで終わるけど、負けた日は、その負けを取り返すまでひたすらトレードをするので、結果的に勝ちやすい日はあまりトレードをしないけど、勝ちづらい時には沢山トレードをする、ということになってしまうわけです。

 

すると、例えばバックテストなんかで、そういった「心理的な影響無し」という前提で取引をした結果、正の期待値が得られるようなトレードのロジックだったとしても、そのトレードロジックが得意な地合いでは少ししかトレードしないし、そのトレードロジックが苦手な地合いでは沢山トレードする、ということになってしまうので、本来持っている期待値通りの結果が得られない、ということに繋がってしまうということなんです。

だから、一般社会では「目標を掲げてそこに向かって頑張る」というのは良いことだ、とされています。でも、トレードにおいてはそれが足を引っ張るってことが往々にしてあるんだよ、ということ、これを押さえてもらいたいと思います。

そのことを学術的に説明したものが、この行動経済学における「目標仮説」っていう学説なんだよ、ということ。

ここまで知っておくと、今後トレードする中で、「あ、自分は今ちょっとこの目標仮説の例に挙げられているようなトレードをしてしまっているな」みたいな感じで気付ければ、それによる損失がある程度抑えられるかな、という風に…まあ知らない人よりは大きな損失を出さずに済むかな、ということですね。

まあ、転ばぬ先の杖として、こんな知識を頭に入れておいていただけると幸いです、ということです。

ということで、今回のキャプチャーは以上になります。

まとめ

はい、如何だったでしょうか?
目標仮説についてお話をさせてもらいました。

目標を立てることによって、却って良いパフォーマンスの妨げになることがある、ということを2つの例を用いながら説明させてもらいました。

僕のチャンネルはあまりメンタルに関して話している回って多くないんですよね。

確か、以前、プロスペクト理論について動画を撮らせてもらったんですけど、それ以来になるかな、と思います。

ちょっと、僕自身がシステムトレーダーで、あまりメンタルによってトレードがどうのこうの…っていうのが起きないタイプのトレーダーなので、あまり喋ってこなかったんですけど、やっぱりメンタルについての相談とか質問とかも結構来るので、そういったことにお答えする、という意味で、一応僕なりに説明してみました。

どうですかね? 僕のチャンネルでそういった行動経済学とか…大枠メンタルですね、その中の行動経済学が一番大事だな、って思っているんですけど、こういった内容が良かった・悪かった、このチャンネルにはそぐわない、みたいな皆さんなりの想いもあるでしょうから、そういったことをコメント欄とかTwitterの方にお寄せいただけると嬉しいです。

 

ということで、今回の動画は以上になります。

今回の動画が少しでも勉強になった・役に立ったと思っていただけた方は、チャンネル登録と高評価を是非よろしくお願いします。

今回は以上です。

それでは皆さん、ごきげんよう。